会計士の投資家が「米不況時」に狙う"配当株"3選 安定拡大が見込める30年連続増配企業とは?

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リンデの強みには、まずスイッチング・コストの高さが挙げられます。

スイッチング・コストとは、顧客が他社製品・サービスに乗り換えるために支払うコストのこと。他社製品・サービスが魅力的に見えたとしても、コストとの比較で乗り換え(スイッチ)を断念する、ということがあります

リンデは顧客工場の敷地内に産業ガス供給設備を所有し長期契約を締結することから、顧客にとってスイッチング・コストが高くなり、それが競争優位をもたらし、新規企業に対する参入障壁として働いています。

また産業ガスという製品は、顧客工場で使用されればなくなるという消耗品の特性がありますから、リピート性があります。

2023年12月期は、売上高328億ドル(4兆9200億円)(前期比△1.5%)、営業利益80億ドル(1兆2000億円)、営業利益率24.4%、EPS12.70ドル(1905円)(+53.0%)、ROE15.6%、自己資本比率50.8%でした。

営業利益率が高い水準であり、ここに競争優位が現れていると思います。顧客工場にリンデの産業ガス供給設備が設置され、工場が稼働し始めれば、よほどのことがない限り他社にスイッチされないと考えられます。高いスイッチング・コストが参入障壁として働き、高い利益率を実現しているのでしょう。

将来的にも、産業ガスはさまざまな分野で利用されます。例えば医療用であれば呼吸しにくい人には酸素吸入が必要ですし、パッケージに入っている食料品には酸化を防ぐために窒素が封入されます。鉄鋼の生産プロセスでは酸素が使われます。

このように利用分野が多岐にわたるため、世界経済の成長にともなって長期にわたって市場は拡大していくものと考えられます。特に医療や食料品向けの需要は、安定して拡大していくものと期待できます。それにともない、業界1位、そして30年連続増配企業でもあるリンデの売り上げとEPSも増加していくことが期待できるでしょう。

なお、リンデの株価は1株価値(適正価格)に対して割高だと考えられます。アメリカは、景気後退のシグナルとなる長短金利差の逆転が、長期間にわたって発生しており、それほど遠くない未来に景気後退局面が到来するのは間違いないと考えられます。そのときまで、待つ戦略が適切だと思います。投資ユニバースに入れて監視しておきたい企業です。

ブランド力で囲い込む「日清食品」

日清食品ホールディングス(2897)は、景気の良し悪しに大きな影響を受けない即席麺などの製造販売を主な事業としています。業績は比較的安定していると考えられ、実際のEPSの推移も安定しています。

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