ハマってからではもう遅い「相続の落とし穴」4つ 「心情的な原因」でこじれてしまうことも多い
2023年4月27日からは「相続土地国庫帰属制度」が開始されました。土地の所有権を国に移転させることができるという画期的な制度ですが、以下の要件があり、どんな土地でも気軽にできる、というわけではありません。
・手間や時間(審査に半年~1年程度)がかかる
・一定の要件があるので申請しても承認を得られない可能性がある
・承認を受けた場合は申請者が10年分の土地管理費相当額(宅地、田・畑、雑種地等の場合は原則20万円)の負担金を納付しなければならない
・建物がある土地や境界が明らかでない土地などは申請できない
※不動産登記における土地の単位は「筆」です。したがって、「一筆の土地」というのは、不動産登記簿上における1つの土地を指します。
さらに、土地や建物を相続し、所有権を手放すこともできない場合、固定資産税などの税金や草刈りなど管理の手間がかかります。中でも建物が老朽化していると、地震や台風などによって、屋根瓦が落ちる、塀が崩れる、などのおそれがあり、もし他人に損害を与えてしまうと、賠償責任を負ってしまう可能性があります(民法717条)。
人口の減少や都心部への集中などによって、田舎の田畑や古くなった実家などの管理に困っている人は少なくない、と感じます。
親権者でも子に代わって遺産分割できない!?
A.家庭裁判所に「特別代理人」の選任申立てをしましょう。
相続人の中に未成年者である子どもがいる場合、通常は親権者が子どもに代わって遺産分割手続を行うということになっています(民法824条)。しかし、親が子どもの代理人になれないケースもあります。例えば夫(妻)が亡くなって、その配偶者と子が相続人の場合です。
被相続人(故人)の配偶者と、その子で相続財産を分け合うので、どちらかの取り分が増えればどちらかが減る「利益相反」の関係になってしまいます。そのため、親権者であっても子の代理人になれないのです。
未成年者が相続人になり、親権者が代理人になれない場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てをしなければなりません(民法826条)。
家庭裁判所の選任した特別代理人が未成年者の代理人になりますので、この代理人と遺産分割協議をします。特別代理人には資格などは必要ないため、利益相反にならない親族(祖父母、いとこなど)がなるケースが多いようです。
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