「米国株は大幅に下落、日本株も追随」となるのか 弱い製造業指標や求人件数急低下で高まる懸念

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このように労働者優位の状況が崩れつつある姿は同国の民間調査会社であるコンファレンス・ボードが発表する消費者信頼感調査における雇用判断DIの低下と整合的であり、広範な指標で弱さが確認されている。これらから判断すると、現在4.3%で推移している失業率が今後上昇していく可能性を意識せざるをえない。

米国株下落なら、FRBが「株式市場を助けにくる」?

その場合、米国株は弱気相場に移行するのだろうか。そこで重要になってくるのは「もし景気後退が懸念される状況になれば、FRBが大胆な利下げに踏み切る」という前提。その点、現在、利下げにあたって最大の障壁であるインフレがおおむね沈静化していることは極めて重要な事実であろう。

2021年に高値を付けたナスダック総合指数がその後、2022年に30%近い下落を経験したのは、「景気が悪化しているのにインフレが邪魔をするので利下げができない」という、ある意味「詰んだ」状態であったことが大きい。

それに対して現在のFRBはいつでも動ける状態にあり、政策対応余地は豊富にある。仮に株価が大幅下落となれば、FRBが「株式市場を助けにくる」のではないか。筆者は日本株が、米国株の下落に付き合わされる展開になる可能性は現時点では低いと考えている。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

藤代 宏一 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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ふじしろ こういち / Koichi Fujishiro

2005年第一生命保険入社。2010年内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間『経済財政白書』の執筆や、月例経済報告の作成を担当。その後、第一生命保険より転籍。2018年参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。2015年4月主任エコノミスト、2023年4月から現職。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当は金融市場全般。

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