「米国株は大幅に下落、日本株も追随」となるのか 弱い製造業指標や求人件数急低下で高まる懸念

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それに加えて、向こう3カ月程度の先行きを読むうえで有用な新規受注・在庫バランスが38.7へと急落し、20カ月ぶりの低水準に落ち込んだことも重要。筆者は7月の46.8という数値は何らかの特殊要因で弱さが誇張されていたと判断していたが、新規受注・在庫バランスの悪化を伴い、2カ月連続で弱さが示されたことに鑑みれば、一過性のものではなかったと読み替えるのが妥当に思える。

製造業の苦境を映じたのはISM製造業景況指数だけではなく、類似指標の製造業PMI(S&P Globalが公表する購買担当者景況指数)も同様であった。PMIは47.9となり、過去2カ月で大幅に水準を切り下げ、しかも新規受注・在庫バランスの急低下を伴った。

PMI算出に用いられる5つの項目は、生産(50.5→48.2)が50を割り込み、新規受注(47.7→46.3)は一段と低下、雇用(51.6→49.2)も50を割れ、サプライヤー納期(50.1→48.6)は短縮、中間財投入を意味する購買品在庫(48.7→48.2)は微減であった。

このように、ISM製造業景況指数と同様、新規受注の弱さが懸念される。サービス業PMIが55.2と強さを維持していることに鑑みると、必ずしも内需の弱さが背景にあるわけではなさそうだが、11月5日の大統領選挙を控えた不透明感などから生産・投資活動が抑制されている可能性が指摘できる。

現在のS&P500種指数はかなり割高?

ISM製造業景況指数や製造業PMIといった製造業サーベイは、長期的に株価との連動性が強い。そこでS&P500種指数(前年比)とISM製造業景況指数を同じグラフに描いてみると、過去は基本的に連動していた。だが、直近1年程度は強い株価と弱いISMと言った具合に、明らかな違和感が認められている。

もしISM製造業が「絶対的に正しい」という前提を置くならば、現在のS&P500種指数は(ひいき目にみても)前年比伸び率がゼロ近傍、すなわち4300~4500ポイント程度の水準にあるはずであり、現行水準から25%程度の下落余地がある。

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