マクドナルド「髪色自由化」が導く"本当の狙い" 「人材確保」だけではない、大きな意義があった

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先行する似た取り組みとして、P&Gのヘアケアブランドのパンテーンが、2018年9月から行っている「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」がある。

この一連の取り組みの中で、パンテーンは「#令和の就活ヘアをもっと自由に」プロジェクトを始動させ、自分らしい自由な髪で就職活動を行うことを呼びかけた。2019年には、令和元年の内定式に向けて、139社の企業から賛同を集め、「内的式に、自分らしい髪で来てください」と呼びかけている。

筆者は大学教員になって、3年半になるが、いまの大学生は非常にさまざまな髪型、髪色をしている。

自分自身は国立の理系学部だったこともあるかもしれないが、学生だった頃は、同級生の髪色はほとんど黒だった。茶髪の人が一人いたが、「あいつは茶髪やけど、真面目で成績もいいんや」みたいな言われ方をしていた。

いまの学生は、男女問わず、金髪だけでなく、青や緑の髪色をしていたりする人もいるのだが、そういう学生が勉強を怠けていたり、成績が悪かったりするかというと、まったくそんなことはない。

五輪においても、金髪の若手アスリートを目にすることも多くなった。日本選手団の旗手を務めた女子フェンシング・江村美咲さんもそうだった。

江村さんは外見に関して批判されたが、それに対して「自分の好きな自分だったらいいかなと。いろんな意見あると思うけど、自分が一番心地よいことが大事」と答えている。

江村美咲
金髪姿がトレードマークだったフェンシングの江村美咲さん(画像:本人の公式Instagramより)

江村さんの発言からも、若い人にとって、髪の色、あるいは髪型やファッションは「自分らしさの表現」でもあることがうかがえる。

資生堂のメイクアップブランド「マジョリカ マジョルカ」は、「流行より自分らしさを大切にする」若年層向けブランドとして、2003年に誕生している。この辺の時代から、若者が「自分らしさ」を重視するようになり、メイクアップやファッションで「自分らしさ」を表現する時代になっている。

海外では「アクセサリーだらけ」「椅子に座って」接客

マクドナルドの発表を見ても、そうしたZ世代の特徴を踏まえているように見える。

筆者はコロナ前、1カ月単位で海外旅行に行っていたが、接客サービスに対する意識が、日本とかなり異なっていることに気付かされた。

ヨーロッパに行ったとき、スーパーのレジや、ホステルのスタッフが、いろいろな髪型、髪色をしていた。中には、いくつもアクセサリーやピアスを身に着けている人もいた。また、彼らは椅子に座って接客をしていた。服装も人それぞれで、制約は少なそうだった。

次ページ髪の色や服装は、ある程度自由にしても何ら問題はない
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