マクドナルド「髪色自由化」が導く"本当の狙い" 「人材確保」だけではない、大きな意義があった
このキャンペーンは、「New York Festivals 2024 Advertising Awards」でグランプリ、金賞、銅賞を含む5冠を受賞。
「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2024」(以下、「カンヌライオンズ」)では、金賞を含む合計3つの賞を受賞しており、海外から高い評価を得ている。
このキャンペーンを知らない人も多いのではないかと思うし、筆者としても、どうしてこのキャンペーンが海外でここまで高く評価されているのか、当初は理解できなかったというのが正直なところだ。
受賞の理由を読み解いていくと、働くときも「自分らしくありたい」と思う若い世代の気持ちに寄り添って、マクドナルドが数十年にわたって使ってきた「スマイル0円」を時代に合わせて刷新するという取り組みが評価されたポイントであることが理解できた。
つまり、これは単なるリクルーティングのキャンペーンではなく、「若い世代が自分らしく働くこと」を支援する取り組みでもあるのだ。
先述の「カンヌライオンズ2024」では、フランスの自動車メーカーのルノーの “Cars to Work(通勤のための車)”が、2部門でグランプリ、2つの金賞という多数の賞を獲得している。
これは、フランスでは公共交通機関が不便な地方や郊外に住む失業者は、車がないと就職できないにもかかわらず、就職できないと車のローンが組めないという問題に目をつけたものだ。
これに対して、ルノーはこうした地域に住む失業中の人々に、本採用となるまでローンの支払いを免除するというプランを提供した。
そうした流れで位置づけてみると、今回発表された「髪色自由化」も単なる人材確保というにとどまらず、若者の就業支援、さらには自己肯定感の促進という「社会課題の解決」という役割も担っていることが理解できる。
「大げさではないか」と思われるかもしれないが、決してそうではない。
Z世代にとっての「自分らしさ」
マクドナルドは、今回の規約改訂に関して、下記のような表明をしている。
約20万人のクルーが髪色を自己表現の1つとして自分らしい働き方をしてほしい、また自分らしく働くことによってさらにポジティブに仕事に取り組んで欲しいと、一人ひとりにあった価値観を尊重しながら、お客様に快適な環境でお食事をしていただける店舗運営に努めていこうという、想いを込めて実現したものです。
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