2050年までに「橋の4分の1が崩落」という大衝撃 米国で熱波と豪雨による想定外の老朽化リスク
アメリカ全州道路交通運輸行政官協会の専務理事ジム・タイモンは、科学者、エンジニア、政府機関は今になってようやく気候変動に強い橋の建設基準を策定し始めたところにすぎないと話した。
「私たちは、気候変動が投げかけている事象から学び、次に投げかけてくることに備えて変化・構築を進めようとしている。ただ、そのターゲットは変化し続けている」
2020〜22年の点検で「良好」とされた橋も…
2018年、コロラド州は道路や橋の計画で気候変動の影響を考慮する最初の州のひとつとなった。2013年の洪水で州内の約500マイル(約800キロメートル)の道路と50の橋が被害を受け、7億ドル以上の緊急修理が必要となった。以降、州の交通委員会は橋と道路の建設に気候変動への耐性を求めるようになった。
州は、コロラド州立大学教授で土木技師のフサム・マフムードに、州内の鋼鉄製橋梁で進むジョイント部の劣化とそこにかかる負担の増加について調査を依頼した。マフムードは「目にしたのは驚くべき事態だった」と話す。
通常は、築後年数が橋の脆弱性を予測する最良の指標の1つとなる。エンジニアは一般に、ある橋が築後50年を過ぎた時点で、その橋の補修や架け替えを優先的に行うべきもの、と位置付ける。
ところがマフムードが驚いたことに、コロラド州で最も劣化が進んだ橋の中には、モーガン郡のリバーサイド運河に架かる築後18年の橋、プエブロ郡カウンティロード501にある築後29年の橋、郡道17号線のオテロ郡オテロ運河に架かる築後10年の橋が含まれていた。
これらの橋はすべて、2020年~2022年の点検に基づく連邦高速道路局の全国橋梁台帳では「良好」または「満足」な状態と評価されていた。
(執筆:Coral Davenport記者)
(C)2024 The New York Times
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