2050年までに「橋の4分の1が崩落」という大衝撃 米国で熱波と豪雨による想定外の老朽化リスク
この夏、気温がカ氏95度(セ氏35℃)に達した日、ブロンクスとマンハッタンを結ぶニューヨーク市のサードアベニュー橋が何時間も開いたまま動かなくなった。
熱波に焦がされ、洪水に洗われた中西部では、アイオワ州とサウスダコタ州を結ぶ鋼鉄製の鉄道橋が増水により崩壊した。メイン州ルイストンでは、気温の変動で舗装がひび割れ、橋が閉鎖された。
猛暑や洪水で国中の橋の劣化が加速
アメリカの橋の4分の1は1960年以前に建設されたもので、すでに補修が必要な状態だった。だが、エンジニアたちによれば、気候変動に伴う猛暑や洪水の増加が国中の橋の劣化を加速させ、老朽化が早まっている。
その結果、人々の安全な移動や物流に対する脅威が、静かに、しかし着実に大きくなっており、アメリカ人が気づかないような形で気候変動が日常生活を変えつつある例がまたひとつ増えている。
「私たちが経験している橋の危機は極端気象現象と明確につながっている」。コロラド大学ボルダー校の土木工学教授で、気候変動がインフラに及ぼす影響を研究しているポール・チノウスキーは、「こんなことは通常の気候条件下では起こらない。これほどの速さで進行する事態はこれまでになかったものだ」と話す。