2050年までに「橋の4分の1が崩落」という大衝撃 米国で熱波と豪雨による想定外の老朽化リスク

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問題を抱えた橋は、サプライチェーンや物価に影響を及ぼし始めている。2022年、フェニックスからロサンゼルス港に向かう主要トラック輸送ルートにある州間高速道路10号線上の橋(カリフォルニア州とアリゾナ州の州境に位置する)の一部が記録的豪雨で流された。

その前には、2015年に州間高速道路10号線上の別の橋(テックスウォッシュ橋)が、当時1000年に一度の規模と言われた洪水で崩壊した。アメリカ運輸研究所によると、いずれも橋の閉鎖による遅れや余分な燃料費で、トラック輸送コストは1日あたり約250万ドル増大したと推定される。エンジニアたちは、こうした橋の閉鎖がこれからの10年間で全国的に大幅に増えると予測している。

気候変動に追いつかない当局の対応

バイデン政権はこの問題に対処しようとしている。2021年の超党派インフラ法により、道路、橋、その他の主要交通インフラの補修・建設に1100億ドルを充てることとなった。

同法には、施設や高速道路の異常気象への耐性を高めるため各州に73億ドルを分配する先駆的プログラム「PROTECT」が含まれている。さらに14億ドルにのぼる競争的助成金も用意されている。

豪雨と暑さが相まって過去2年で推定100の橋に損傷が生じたバーモント州では、より深い基礎と頑丈な材料を用いて、より高くて幅の広い橋の再建が進められている。橋の下の水路も、一段と大量の水に対応できるよう、より深く広くする作業が行われている。

ただ、それにはお金も時間もかかる。バーモント州交通局のチーフ・エンジニア、ジェレミー・リードによると、洪水に強い橋の建設には通常の30~40%増しの費用がかかっている。

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