三菱商事のチリ巨額投資が思わぬ波紋、銅資源権益をめぐって法廷闘争へ

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袖にされた国営銅生産会社、コデルコが激怒

しかし、この株式取得に激怒したのが、チリ国営で世界最大の銅生産会社でもあるコデルコだ。実は、コデルコは、スール社株式の最大49%分をアングロから買い取るオプション(権利)を保有しており、3年に1度、権利行使の機会がある。

次の機会は来年(12年)1月。コデルコは今年10月、来年1月に権利行使して株式取得する意志を早々と対外的にも表明。株式取得に必要な資金についても、コデルコとの関係強化を目論む三井物産から最大67.5億ドル(日本円で約5180億円)のつなぎ融資の約束を10月初旬に取り付けていた。

三菱商事による株式取得は、まさにその矢先の出来事だった。コデルコの権利行使が確実と見たアングロは、ひそかに複数の企業に対してスール社株式の一部譲渡を打診。話を持ち掛けた具体的な時期については明らかではないが、打診を受けた企業の中で最も高い金額を提示したのが三菱商事だった。

三菱商事に子会社株式を売ったアングロの思惑

なぜ、アングロは第三者への株式譲渡を急いだのか。

最大の理由は価格にある。関係者らによると、コデルコがオプション行使によってスール社の株式を買い取る際の価格は、銅市況が高騰する以前に決められた計算式によって企業価値を算定する取り決めになっているという。このため、譲渡価格は相場よりも安くなり、アングロの側に立てば、高い値段で買い取ってくれる第三者を探した方が得だ。

また、コデルコ1社に大事な子会社の株式49%をも握られてしまっては、大きな発言権を与えることになり、経営の主導権も発揮しづらい。

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