神経科学がもたらす経済学の大きな革命--ロバート・J・シラー 米イェール大学経済学部教授

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神経科学者が心を躍らせる研究がもう一つある。それは、確率が不明で関連性の高いほかの情報がないときに脳があいまいな状況にどう対処するかということだ。確率が明らかなときに問題に対処するのに使われる脳の領域と、確率が不明なときに使われる領域が違うことは、すでに発見されている。この研究は、危機時の金融市場などの不確実性やリスクを人間がどのように取り扱うかを理解する助けになるかもしれない。

経済学者のケインズは、経済的な意思決定の大半は確率不明であいまいな状況で行われると考えた。景気循環の大半は、経済学者に理解されない、心の中のもの──「アニマルスピリット」──の変動に左右されると彼は結論づけた。

経済学の問題点は、危機が発生すれば、経済学者の人数と同じ数だけその解釈があるということだ。経済は非常に複雑な構造を持っており、探求するには、法律、規制、商慣行、会計に加えて多くの詳細について理解しなければならない。それでもいつかは、脳の機能の根底にある身体構造を理解することによって、どのようにして経済がうまくいったり、いかなかったりするかをずっと深く知る日が来るだろう。

脳、コンピュータ、経済の三つは、それぞれニューロン、トランジスタ、個人という個別単位の活動を協調させる際の、問題を解決するための装置である。これらの装置のどれか一つが解決する問題に対して理解を深めることによって、三つの装置すべてに関して価値のあることを学ぶことができるのだ。

Robert J.Shiller
1946年生まれ。ミシガン大学卒業後、マサチューセッツ工科大学で経済学博士号取得。株式市場の研究で知られ、2000年出版の『根拠なき熱狂』は世界的ベストセラーになった。ジョージ・A・アカロフとの共著に『アニマルスピリット』がある。

(週刊東洋経済2011年12月10日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。写真:GerryShaw CC BY-SA
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