岡山「ベンチャーの村」に出向したJR西社員の仕事 鉄道会社に新しい風を吹かせることができるか
「地元の人たちからすると、先祖が植えた木々を活用せずにそのままにしていても、目の前の日常に変化はない。それを材木化し商品とすることで、外部の人間が“おいしいところだけ持っていく”といった感情は当初はありました。ただ、同時に現状のままでいいと思っている人もおらず、地元には人的リソースも足りない。我が村の今後を長期的に見通し、ローカルベンチャー企業を積極的に受け入れ、共創していく今のスタイルが10年かけて定着しました」
外部から企業や人材を呼び込む場合、定住や移住を求めるケースが多いが、西粟倉村ではそれを求めていない。そうすることで企業・人材の入れ替わりに障壁がなく、西粟倉村を訪れるハードルが下がるほか、定住率という数字に事業の客観的評価が左右されることもない。「JR西日本という大企業ならではのノウハウもあり、村として貴重な人材」と武部氏の出向を歓迎する。
JRで培ったノウハウをたくさん活かせる
そして、村役場と二人三脚で歩んでいるのがエーゼログループだ。豊かな自然を前提とした豊かな社会を築き、その上に経済を成立させる「未来の里山」の実現を目指す企業で、武部氏も役場に籍を置きつつ、こちらでの業務にも従事する。
「ちょうど新たな事業が始まる中、武部さんがJRで培ってこられた技術を活かせるシーンがたくさんある」と話すのは同社代表の牧大介氏だ。
「弊社を含め、ローカルベンチャー企業はどこも会社規模が限定的で目先のことに追われてしまう中、本来必要な開発などに人を割くことができない。また、土木と建築の分野は双方がより密に連携し、そこに生態系という視点をプラスしていくことがこの先、社会的に求められていく。武部さんは最適な人材だし、西粟倉村ではそれを経験することができる」
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