異次元バブル相場の可能性は一段と高まった 「8月世界同時株安」の次はどうなるのか

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② 昨今の空売り比率が30%を超す異常な日本マーケットで、日経平均が733円安となった8月25日には39.2%を記録した。

「デイトレ売買」を考慮すると、実質的な出来高の4割以上が空売りという、いわば制空権が完全に「売り方」にあったこと。この主体は、外資系売り専門ファンドで、今年前半ほぼやられて来た彼らは、それを取り返すべく乾坤一擲の大勝負に出たとも言われる。

③ 「②の動き」によって、3月初めの1万8000円台後半まで積極的に買っていたとされるGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が動きを止め、公的資金の動きは日銀だけとなったと推定される。日銀だけでは中国不安、アメリカ利上げ不安を支えきれず、彼らの売り仕掛けが、予想以上にはまってしまった。

下落で大相場の「根茎」は一段と太くなった

では今後の相場はどうなるだろうか。筆者は異次元バブル大相場の可能性がさらに高まったと筆者は考える。

当初は①のように考えていた中国も、人民元切り下げの国内への副作用を理解し、遅まきながら追加緩和を発表し、政策の両輪がそろった。これで、中国株は落ち着いて行くと思われる。

②の空売りファンドの動向だが、反騰に転じた26日においても39.2%と言う過去最高の空売り比率で、まだ制空権を握っている。しかし、空売りなので、いずれ買い戻さなければならない。

また彼らが乾坤一擲の勝負に出たもう一つの理由が、今後のタイムスケジュールにある。

9月4日に発表される8月の米雇用統計から2週間後のFOMC(9月16~17日)と続くあたりで、相場は大きなヤマ場を迎える。ここは個々のファンドの力を超える、もっと大きな力が相場に影響する。「できればその前に勝負を決めたい」と思うのは当然だ。

雇用統計の翌週の11日は日本の「メジャーSQ(特別清算指数)」(オプションと先物のSQ算出が重なる日)であり、その翌週には国会で安保法案が成立予定で、さらにその翌週、安倍総理の自民党総裁無投票再選が決まり、潤沢な税収をバックにした政策が動き出すはずだ。

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