家族の負担も費用も減らせる! 介護を乗り切るリハビリの力

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11年9月現在、要介護(要支援含む)認定者は、530万人(00年度は218万人)。重介護者の割合は増え、介護保険の総費用(利用者負担を含む)は、10年度で7・9兆円と00年度の2倍以上にまで膨らんでおり、今後もますます増加することが予想される。

医療制度においては今、超高齢化の加速を背景に、在宅医療の強化が大きな柱となっている。だが、リハビリの環境が整わないままむやみに自宅に帰せば、要介護の要因につながることも少なくない。「退院して自宅に帰った脳卒中患者が、1年後には歩けなくなっていた」「自宅で一人暮らしをしていた90代女性が風邪で寝込んだことをきっかけに寝たきりになってしまった」などのケースは枚挙にいとまがない。

慶応大学名誉教授で、永生病院(東京都八王子市)名誉院長の千野直一氏は「在宅医療を推進するならば、より一層リハビリが重要になる」と強調する。実際、訪問リハビリ、通所リハビリの機能強化や普及推進、さらに、リハビリ専門職と連携した訪問介護サービスなどが議論されている。

いまだ知られていないリハビリの価値

ところが、石川理事長はこう言って頭を抱える。「リハビリの価値が認められるようになっても、われわれ提供者側がまだ時代の波に追いついていない」。というのも、リハビリを集中的に行う病床や、訪問リハビリや通所リハビリを行う施設、リハビリ専門医や専門職員もすべて、需要に対して足りていないからだ。リハビリを受けたくても受けられない人が、あふれているのが実情。このままでは、「保険あってサービスなし」という状況にもなりかねない。

だがそれよりも、リハビリを知らない人、それがゆえにサービスにたどり着いていない人が多いのも事実。リハビリは、脳卒中の後遺症を抱える人だけのものに限らない。認知症、骨折や関節疾患、高齢による衰弱……すべてにおいて、寝たきりを防ぐ大きな力となるのだ。
 
 『週刊東洋経済』2011年12月10日号(12月5日発売)では、いまだその価値を十分に知られていないリハビリについて、徹底レポートした。


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