「国の温暖化対策は違憲」韓国で出た衝撃判決 ガチの具体策でなければ国民の権利を侵害
韓国の憲法裁判所は8月29日、同国の気候変動対策は国民の権利を守るのに不十分だと判断、2031年以降の温室効果ガス削減について政府にしっかりとした目標を定めるよう命じた。気候変動に関する訴訟でこのような判決が下されるのは、アジアでは初めてだ。
原告の3分の1は子供や10代の若者
憲法裁判所は2020年以降、政府の温室効果ガス削減目標とその実施計画が部分的に違憲であり、国民の権利、特に将来世代の権利を保護するのにあまりに不十分だと主張する250人以上の原告によって提出された一連の訴状を検討してきた。提訴時点では、原告の3人に1人が子供や10代の若者だった。
2010年に初めて制定された韓国の炭素中立基本法は、2030年までに温室効果ガスを2018年比で少なくとも35%削減する目標を設定するよう国に義務付けている。同法に基づき、政府は40%の削減目標を設定したが、これでは気候変動の影響を抑えるのに十分ではないと原告は主張していた。
憲法裁判所は29日の判決で、2030年の目標を違憲とはしなかった。しかし、2031年から政府が温室効果ガスの排出を実質ゼロにするとしている2050年までの間の排出削減目標が法律に明記されなかったため、将来世代の憲法上の権利が侵害されていると断じた。
同裁判所は国会に対し、2025年2月末までに法律を改正するよう求めている。
「将来世代はこれまで以上に気候変動の影響にさらされることになるが、現時点では民主政治のプロセスへの参加は限られている。よって国会議員には、中長期的な温室効果ガス削減計画のための具体的な法律を制定する義務と責任がある」と憲法裁判所は指摘した。