現行の税制は、高齢世代には負担が軽く、現役世代に負担が重い性質が強い。そのため、特に現役世代に過重な負担を課す形でしわ寄せがいっている。
所得税は、高所得者に多く税負担を求める累進課税はあるが、年金に対しては所得税負担が軽くなっている。そのため、所得税の負担は世代間格差が大きい。
同じ年収300万円でも、給与所得で稼ぐと適用される給与所得控除は98万円で202万円が課税対象となるが、65歳以上の人が公的年金で受け取ると適用される公的年金等控除は110万円で190万円しか課税対象にならない(ここから基礎控除や社会保険料控除などが適用された後に課税所得が決まる)。
公的年金等控除が手厚いために、高齢世代の所得税負担が軽くなっている。
高齢世代は年金と給与ダブルで税控除
おまけに、現役世代には年金収入はないが、高齢世代は働けば給与収入も受け取れる。年金収入と給与収入の双方で稼げば、税負担はさらに減る。
同じ年収300万円でも、年金収入で150万円、給与収入で150万円稼ぐと、年金収入には公的年金等控除が110万円適用されて40万円しか課税対象にならず、給与収入には55万円適用されて95万円しか課税対象とならず、課税対象となるのは合わせて135万円だけである(ここから基礎控除や社会保険料控除などが適用された後に課税所得が決まる)。
給与所得控除と公的年金等控除がダブルで適用されるという現行税制のせいである。
確かに、高齢世代といっても、裕福な高齢者もいれば、そうでない高齢者もいる。しかし、今の高齢世代が現役だった頃に比べると、今の現役世代の1人当たり負担は重くなっている。今の高齢世代の人で40歳だった時の負担よりも、今の現役世代で40歳の人の負担のほうが重い。
その意味で高齢世代の負担は、今の現役世代の負担よりも軽いのは事実である。
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