分譲マンションからAirbnbを排除できるか

管理規約を変えただけでは解決しない

また、自室のみならず、マンション内にある来客用のゲストルームを長期間借り続けて、第三者に又貸ししている者までいるという。住宅ジャーナリストの榊淳司氏は「特に中国や台湾の方は利益に対して非常に敏感で、日本人とは感覚が違う。多少のクレームが入ったところで、通常の賃貸よりさらに高い利回りが見込めるairbnbを簡単にやめたりはしない」と指摘する。

竣工された当時はこのような使われ方をすることは、当然想定されていなかったはずだ。住人が期待していたマンションの雰囲気が壊されてしまえば、売却して出て行く人が増加し、悪い噂がたってしまえば購入希望者も減る。マンションから人がいなくなり、人口が減ると、管理費が減少して修繕に必要な資金は減る一方だ。そうすると、現住民から徴収する管理費や修繕積立金の値上げを招き、それを嫌った住人がまた他のマンションに流出していくという、「負のスパイラル」に陥ってしまう。ただでさえ、マンションは供給過剰に陥っており、競争力に乏しい。このスパイラルに一度入ってしまうと止めることは極めて困難といえる。

規約でシェアリングを禁止

こうした状況に対していち早く動いていたのが、湾岸地区のタワーマンション「ブリリアマーレ有明」だ。もともとは2013年4月に、「脱法ハウス」と言われたシェアハウスとしての使用を撲滅するために規約を改定していたのだが、これをAirbnbのような住宅のシェアリングエコノミーに対しても適用している。管理組合法人理事長の星川太輔氏は、次のように語る。

ブリリアマーレ有明33階にある、共用部のバー・スペース

「ブリリアマーレ有明は、『非日常が日常であるために』という運営指針を掲げ、共用部のプレミアム感を最大の売りにしています。共用部は、住民しか使わないことが想定されており、使用ルールを全員が熟知していることが前提。また、非日常空間を楽しめるのは、居住者とそのゲストだけというプレミアム感の保持のためにも重要です。数万円で簡単に入って来られるようになってはプレミアム感が保てません。こうしたルールは、マンションの将来的な価値の向上のためにも不可欠です」

共用部にある暖炉

今年7月には、この規約の内容をブログで公開した。周辺のマンションで次々とAirbnbによる外部への貸出が始まってしまうと、規約で禁止されている自分たちのマンションの中でもなし崩し的に行われてしまうことを危惧したためだ。

周辺マンションや新規のタワーマンションがこれを参考にして、トラブルを未然に防ぐことで、互いのマンションブランドと価値を維持することに役立つと考え、あえて公知のものにしたのだという。

しかし、Airbnbを禁止する管理規約があっても、それ自体が撲滅させる効果を持つわけではない。区分所有者は、専有部分については、排他的な支配権である所有権を持っている。専有部分をどのように使おうと、区分所有者の自由であることが原則だ。仮に、区分所有者の行為を停止させたり、結果の除去を請求するためには、「共同の利益に反する行為」をしたといえる必要がある(区分所有法57条)。Airbnbで部屋を貸し出す行為自体は、自分の所有物を運用しているだけであり、さすがに「共同の利益に反する行為」といえないだろう。

騒音などによって「共同の利益に反する行為」があったとしても、行為停止の執行力を得るために訴訟を提起しようとすれば、区分所有者及び議決権の過半数による決議も必要だ。専有部分の使用を強制的に禁止することや、区分所有権を競売にかけることも法律上は可能だが、こちらは4分の3の決議と、あらかじめ弁明する機会を与える必要があり、さらにハードルが高い。たとえ規約が整備されていても、実際に是正・排除するには多大な労力が必要となるのだ。

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