米民主党大会で感じた「日本の総裁選」との決定差 アメリカで求められ、日本で求められないもの

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しかし、ハリス氏は難業を成し遂げた。ステージから去っても、興奮した人々はダンスを続け、会場から長いこと去らなかった。同氏の選挙戦が、「フリーダム」や「将来」に向けて動き出すことを、中継を通して全米に印象付けた。

さらに、USA Todayによると、ライバルである共和党員までを味方につけ、238人がハリス氏「公認」を明らかにしたという。G.W.ブッシュ元大統領、故ジョン・マケイン上院議員(2008年大統領候補)、ミット・ロムニー上院議員(2012年大統領候補)の側近らが、書簡にサインして公表した。ハリス氏が、トランプ氏よりも大統領にふさわしいとしている。

次のテレビ中継は9月10日、トランプ氏との大統領候補テレビ討論会だ。ニューヨーク・タイムズによると、ハリス氏は、ヒラリー・クリントン元国務長官とともに準備を進めている。

クリントン氏は2016年の大統領選挙で、トランプ氏に敗北。女性初の大統領になるチャンスを逃した。その後ハリス氏と食事するなど信頼関係を築き、ワシントンでのネットワーク作りを助けてきたという。

日本の首脳はコミュ力を試されることがない

自民党総裁選を始め、日本の政治家の場合はどうだろうか。有権者の心をつかむために、ここまでの努力を強いられるというのは聞いたことがない。きちんとコミュニケーションを取っているのかどうかが試されることもない。日本は議院内閣制で、多数党が首相を選び、国民が選べない制度だ。しかし、首相になったら、国民の代表であり、国民のために働く身となる。

派閥はなくなったものの、依然として推薦人集めが焦点。最後の内閣総理大臣指名選挙も人集めに終始する。その前に、真に国民に迎え入れられる技量や能力があるのだろうか。アメリカ大統領選挙における候補者のすさまじい努力と戦いぶりを見る時、日本の選挙はかなり物足りない気がする。

津山 恵子 ジャーナリスト

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つやま けいこ / Keiko Tsuyma

東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、『AERA』に執筆した。米国の経済、政治について『AERA』ほか、「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」「HEAPS」に執筆。著書に『モバイルシフト 「スマホ×ソーシャル」ビジネス新戦略』(アスキーメディアワークス)など。X(旧ツイッター)はこちら

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