米民主党大会で感じた「日本の総裁選」との決定差 アメリカで求められ、日本で求められないもの

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短いセンテンスで、単語の前後に十分な間をおき、強調する部分は声を枯らした。大げさではない手振りを加え、演説に渾身を込めた。そもそも大統領の影になりがちな副大統領であったために、彼女がこれだけ必死に演説をする姿は見たことがない。

それだけに、今回の演説だけで「presidential(大統領らしい)」とメディアや国民に言わせなくてはならない。おそらく相当の練習をしたに違いない。しかも、バイデン大統領が選挙戦から撤退を発表し、彼女を候補にした7月21日からわずか1カ月で、影の薄い副大統領から大統領候補への変身を強いられた。

「自信に満ちた、信念がある、大統領らしい」演説だったと翌23日のニューヨーク・タイムズ。これは、ハリス氏ほか選挙陣営が最も欲しており、膝を打って喜んだ見出しだろう。

受諾演説の「大失敗」は許されない状況だった

ハリス氏は、アメリカ史上で初めての黒人として副大統領になった。11月に勝利すれば、初の女性大統領になるだけでなく、南アジア系としても初の大統領になる。つまり、歴史を生み出す人物として期待され、受諾演説での失敗は許されない状況だった。

さらなるプレッシャーもあった。ハリス氏の登壇の前に、演説の達人たちが連日、これまで見たこともない盛り上げに一役買った。

大会2日目には、バラク・オバマ元大統領とミシェル元ファーストレディが登壇。タイプは異なるが、人々に希望を持たせる演説で定評あるカップルだ。

「アメリカのホープ(hope=希望)は、カムバックする」

と、ミシェル・オバマが冒頭に宣言した。2008年大統領選挙で、バラク・オバマ候補(当時)が、選挙戦の標語にした「ホープ」という言葉に会場の2万人が歓声を上げる。ミシェル氏は、人々を興奮させただけでなく、「行動せよ(Do something)!」というキーワードも投げかけた。

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