「3浪で公立大合格」ようやく気づいた学ぶ楽しさ 進学先の大学に合わず、再度受験を決意した

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「落ちた理由はよくわかりませんでしたが、今にして思えば、予備校の膨大な課題を消化できるほどのキャパが自分自身になかったのかもしれません。復習も時間をかけたつもりですが、人に伝わるように自分の言葉で話せるほどの理解度ではありませんでした。深い理解をする復習ができていなかったのでしょう」

まさかの事態に慌てた彼は、「2浪はきつい」と思い、私立大の後期試験で唯一合格した大学に進学することに決めます。しかし、この大学は現役のときにも受かった中堅私立大学でした。進学した大学で彼は、自己肯定感が地に落ちてしまったようです。

いったんは進学するものの、悩む日々

「受験勉強にたくさん時間を使ったのに結果が出ず、病んでいました。その中堅私立大学では授業中に先生から『うるさい!』と注意される学生が多くて、なんでこんなにやる気ない人たちと一緒に授業を受けないといけないんだと思って悩んでしまいました。

それが積み重なって、緊張の糸が切れていき、生活のためにやっていて楽しかった塾講師のアルバイトのときだけ外出するようになったんです。でも、2〜3月になると成績表が届き、父親が後期の単位をすべて落としているのに気づきました」

父親は、米村さんの謝罪を受け入れた後、彼の「大学に行きたくない」という思いをくんで、大学を退学することを受け入れてくれました。

とはいえ、何か新しいことをする気力もなくひとまず塾講師のアルバイトを続ける生活を送ります。そんな日々を過ごしていた中で、米村さんの運命を変えるイベントがありました。

「Twitter(現・X)で、デンソーが主催する量子コンピューターのイベントを知りました。『面白そうだな』と思ってなんとなく行ったのですが、そこで量子コンピューターの存在を知って興味を持ちました。

気になってイベント会場の人に聞いたら、量子力学という近代にできた概念の存在が大きいと教えてくれたのです。僕は、その仕組みをちゃんと理解したい、そのためにはしっかり物理の勉強をしないといけないと思って、物理が勉強できる大学に行きたいと思いました」

自分が行けそうな大学を調べていると、世帯年収次第では授業料が無料になる大学もあると知った米村さん。親にも負担をかけずに大学に行くため、学生寮の家賃が安い国公立大学に行こうと考えました。

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