西島秀俊の「ハリウッドデビュー作」がすごかった 配信元の「Apple TV+」の認知度は低いけれど良作

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西島演じるマサは、ある事情でしばらく家に引きこもっていたところ、京都のラーメン店でスージーと出会い、意気投合して結婚。男子をもうけ、仲睦まじく暮らしていた。息子の保育園にバイク(サイドカー)で迎えにいくようなイクメンぶりも発揮していたが、じつは愛妻に本当の仕事をひた隠していた。

マサが開発したらしいロボット・サニーを、スージーは当初毛嫌いしていたが、次第に打ち解けていき、ひとりと一台で協力して夫の秘密を探っていく。

ロボットがソフトバンクのペッパーくんの印象をもっとやわらかくした感じで、スージー共々、見ていて徐々に愛着が湧いてくる。かわいい顔とちょっと邪悪な顔になるときなど表情の変化が楽しい。

後半戦、第8回まで見た時点で、マサが引きこもっていた理由とロボットを作ることになった経緯がわかってくると、なるほどなるほどとナットクの展開である。このナットクの登場人物の過去が、現在、未来にどう作用していくか、まとめどころに期待が高まる。

サニー
意外とかわいい? ロボット・サニー(画像:Apple TV+『サニー』より)

西島秀俊のほかに出演する「豪華俳優陣」

原作は、日本在住のアイルランド人作家コリン・オサリバンによる小説『ダーク・マニュアル』とあって、へんなことにはならないと思われる。いや、日本の低予算、短時間でつくったドラマではないから、原作なしのオリジナルであってもヘタは打たないと思うのだが(日本のオリジナルに不信感が募る昨今です)。

製作しているのは、世界的に注目されている製作・配給スタジオ「A24」。“やばい”と日本でも話題になった『ミッドサマー』(2019年)が記憶に新しいが、第89回アカデミー賞作品賞に輝いた『ムーンライト』(2016年)や、同ノミネートの『レディ・バード』(2017年)など攻めた作品を手掛けている。

『ミッドサマー』を思うと、舞台は近未来の京都で、主題歌は昭和歌謡、主人公は夫の謎を追う日本語の話せないアメリカ人(製作総指揮も兼務するラシダ・ジョーンズ)と『サニー』が一風変わっていることにも説得力がある。単に間違った日本――しかも京都を描いた海外市場を狙った作品ではなさそうだ。

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