西島秀俊の「ハリウッドデビュー作」がすごかった 配信元の「Apple TV+」の認知度は低いけれど良作
渥美マリの『好きよ愛して』は毎回聞いているとなんだかハマるし、なつかしすぎる『子連れ狼』のイメージソング(「しとしとぴっちゃん」のフレーズが印象的)などがかかって、なんともいえないノスタルジックなムードを醸す。登場人物たちの造形にはコーエン兄弟やデビッド・リンチのようなセンスも感じる。
マサの妻・スージーを演じる俳優は馴染みがないが、日本だと水川あさみが演じそうな雰囲気で、スージーとバディのようになる見習いバーテンダーのミクシー(シンガーソングライターのアニー・ザ・クラムジー)もやっぱり馴染みはないが、見ているうちに慣れてくる。
「Apple TV+」の認知度は低いが…
なにより、先述した西島が、いつの頃からか身につけた、日本映画やドラマで見る公安刑事的な寡黙で無表情で物静かな人物しぐさとは違う、表情を生き生きと大きく動かしている場面もあって、新鮮なのだ。おそらく、日本では限界のある表現を海外に世界を広げたときに出すことができるのではないだろうか。
見るほうとしても、違う視点を提示される喜びはある。京都への視点も、マサたちが暮らす京町家の捉え方など、新鮮ではある。こんな家に住みたい。
馴染みがないといえば、最も問題なのは、配信プラットフォームがApple TV+であることだろう。NetflixやAmazonプライム、U-NEXTなどと比べるとまだ浸透していない。先日、韓国ドラマ好きの行きつけの美容師さんと話したときもApple TV+の認識がなかった。
だからこその西島、國村、YOU、ジュディ・オングに京都、見やすいダークミステリーなのだと思うのだが。なにより、1話が1時間ない、35分くらいなので見やすい。15分じゃ短いし1時間じゃ長い。ほどよい感じで続きを楽しみに筆者は見ている。
昨今、俳優もスタッフも続々と地上派ドラマから配信ドラマへと軸足を移していて、見たいドラマの数は増える一方である。俳優にとっても海外の視聴者との出会いによって自身の可能性を広げる絶好のチャンスであろう。
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