子どもの「野球離れ」は、もう止められない 父よ、息子とキャッチボールしていますか

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日本中学校体育連盟のHPをみると、各競技の登録者人数で、2012年は軟式野球26万1527人、サッカー24万8980人だったが、翌2013年は24万2290人と25万3517人でサッカーが逆転している。気軽にできる軟式野球ですらそうなのだから、硬式となるとなおさら減っているのだろう。

ネットで用具の価格を見てみると、グローブなら少年野球用でだいたい1万円台だが、サッカーボールなら3000円ぐらいで手に入る。そのスポーツを選択するのに、費用が基準ということはないのだが、確かに費用面ではサッカーに比べて野球が不利なのは否めない。

前出の連盟幹部は「やはり、サッカーはボールひとつあれば1人でかなり練習できるけど、野球の場合、バット1本でできる素振りはともかく、ボールを使う練習となると1人ではできることに限りがある。少なくともキャッチボールをするにしても相手が必要だし、グローブは2ついるし、費用からいってもサッカーの方が始めやすいのかなあ」とため息をつく。

費用や仲間、気楽にできる場所がないことが原因

再び昭和の時代を振り返ると、今の団塊ジュニア前後の世代ぐらいまでは、とにかく子どもの数が多かった。9人対9人の本格的な試合はできなくても、近所の数世代で集まれば、キャッチボール、ノック、バッティング練習から試合もどきのような遊びはできた。今の子どもが野球遊びをしようにも、一緒にやってくれる仲間も少ないし、気軽に野球できる場所もない。

野球経験のない少年が大人になっていくと、当然ながら息子とキャッチボールもしない。子どもの野球離れは確実に進み、もう止められない流れにあるように見える。ワールドベースボールクラシック(WBC)やオリンピックといった世界大会での優勝争いに絡めるほど、世界トップクラスにある日本の野球界の土台は、なんだかんだ裾野の広さが支えてきている。

今年も夏の甲子園に対する国民の熱気や盛り上がりは、これまでどおりに見えたが、それもいつまで続くのだろうか。猛暑が一段落して朝晩が少し涼しくなった今、冷静に考えると心配になってくる。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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