パリ五輪、選手の不満が続出したモヤッとする真相 次回のロス五輪に向けて突きつけられた大課題

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パリ協定は、産業革命以前の平均と比較して地球の気温上昇を1.5℃に抑え、遅くとも2050年までに世界全体でCO2排出量ネットゼロを達成するために、排出量を大幅に削減することを求めている。

確かに温暖化対策は、五輪開催には避けて通れないものになっている一方で、選手たちの意識がそこまで追いついてない現実もある。選手にとって厳しい五輪になった理由は、組織委員会の発信力の不足によるところも大きい。

そもそも炭素クレジットの仕組みは一般人にわかりにくく、削減目標値を持たすための数字のマジックで、科学的にCO2排出削減を不明瞭なものにしているとの批判もある。

ロス五輪に向けた課題

IOCの懸念は、温暖化対策の縛りにより、開催を希望する国や都市が減少する可能性があることだ。フランスはパリ五輪・パラリンピックを気候戦略の試金石にしたいと考えているが、十分な検証が必要だろう。

一方で、五輪の最大の効果とされる世界最高峰のアスリートたちの競演が与える高揚感や一体感、プラス思考が失われれば元も子もない。実際、多くのフランスのメディアは、組織委員会が想定した以上の高揚感を国民が味わったことに触れ、五輪パワーを再認識したと報じ、フランスのマクロン大統領も満足を表明している。

フランスのクーベルタン男爵が夢見た近代五輪は、スポーツと教育が大きな柱であり、スポーツを通じて人類の共存、平和を追求するものであり、環境問題は19世紀末には問題視されていなかった。五輪が持続可能な発展をしていくために、ロス五輪に向けては包括的な新たな方向性が求められている。

安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)

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あべ まさのぶ / Masanobu Abe

パリを拠点にする国際ジャーナリスト。取材国は30か国を超える。日本で編集者、記者を経て渡仏。創立時の仏レンヌ大学大学院日仏経営センター顧問・講師。レンヌ国際ビジネススクールの講師を長年務め、異文化理解を講じる。日産、NECなど日系200社以上でグローバル人材育成を担当。

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