トヨタが21日からタイでの生産を再開、国内生産の正常化時期が次の焦点に

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トヨタが21日からタイでの生産を再開、国内生産の正常化時期が次の焦点に

トヨタ自動車の豊田章男社長は10日に訪問先のタイから帰国。名古屋市内で記者団の取材に応じ、水害の影響で止まっていたタイでの生産を11月21日から再開する方針を表明した。

 同社にとって東南アジア最大の生産拠点であるタイ(2010年生産実績は63万台)については、「さらなる投資拡大はあっても、撤退はない」と、今後も重要視していく姿勢を示した。

タイでは部品の調達難から、3つの組み立て工場すべてが稼働を停止中だ。このうちハイラックスを生産するサムロン工場(年産23万台)については浸水の懸念が残っているが、「2重、3重に土嚢を積み上げており、たとえ水が入ってもすぐ稼働が可能」とした。

 21日以降の稼働レベルの見通しや、タイでの生産の完全な正常化見通しについては、コメントを避けた。

トヨタは8日の第2四半期決算発表にあたり、タイ水害の影響の広がりが読めないことを理由に業績予想の発表を見送っている。関連して、東日本大震災と比較しての感想を問われた豊田社長は「比べる話ではないが、(ダメージは)大震災のときのほうが大きい」との認識を示した。

タイの洪水に発した部品不足の影響は世界的な広がりを見せており、生産の遅れは12日までで国内4万台、海外11万台(うち9万台弱がタイ)となる見通しだ。ここにきて、徐々に正常化への動きが出ており、10月31日から残業と休日稼働を中止している北米では、14日から通常レベルでの生産を再開する。一方で、11月7日から減産に入ったインドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナム、南アフリカの工場では減産を来週いっぱい続けるという。

 今後は、1日あたり1万4000台強で計画していた生産が1万1000台レベルにとどまっている国内生産の正常化時期が最大の焦点となる。

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西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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