年金の「繰上げと繰下げ」損得を分ける唯一の要素 受給開始の時期は「健康寿命」も考慮して決める

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

平均余命とは、各年齢に達した人たちがその後平均して何年生きられるかを示したもので、65歳時点の平均余命は男性19.44歳、女性は24.3歳です。

この数字をどう受け取るかは人それぞれですが、減額率の設定は、いつから受給しても87歳まで生きると同じくらいの年金総額になるように設定されているといわれています。

(出所:『もらう×増やす×出費を減らす 年金最大化生活』より)

82歳まで生きると「繰上げ」は損になる

それでは、どのくらいまで長生きすると、「繰上げは損だった」ということになるのでしょうか。

長生きして損というのも変ですが、繰下げ受給とは逆の見方ですね。

そもそも、年金は高齢で働けなくなったときのための所得保障であり、損得で考えるべきではないのですが、この点に関心を持たれている方がすごく多いので説明します。

年額200万円の年金をもらうはずだった人の例で考えてみましょう。

60歳から年金をもらい始めると、80歳時点でトータル3040万円(年額152万円)もらうことになります。65歳からもらい始めていたとしたら、80歳でトータル3000万円です。この時点では、まだ得です。

繰上げしなかった場合のトータル金額が上回るのは、80歳10カ月。つまり、そこまで長生きすると、ようやく「繰上げは損だった」ということになります。

これは、年金額が100万円でも、300万円でもほとんど同じです。つまり、年金額にかかわらず、損益分岐点は決まっています。

もう少し細かく分析して、年金から税金や社会保険料を差し引いた手取りベースで見ると、もう少し後ろに下がって82歳あたりになります。

日本人の平均寿命は、男性は約81.41歳、女性は約87.45歳。要するに男性の平均寿命あたりが、損するか、得するかの分岐点ということです。

次ページ男性の平均寿命あたりが損益分岐点に
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事