TSMC「アメリカ新工場」まだ稼働していない事情 文化の違いで「台湾式」の移植に大苦戦中
アリゾナにいる台湾人従業員3人は、会社は緊張を和らげようとしたと言う。3人は自分たちの仕事量は台湾よりも少ないと説明する一方で、工場がフル生産に近づく来年には、仕事量が軽減された状態が維持されるのかどうかはわからないと話した。
フェニックスのTSMCで働く2200人の従業員の約半数は、1万1500キロメートル離れた台湾から呼び寄せられた。TSMCは、次の2つの工場を建設することで6000人の雇用を創出すると述べた。ゆくゆくは台湾からの駐在者の割合を減らし、現地採用者に置き換えていく計画だ。
「この工場を成功させ、持続可能なものにしたいと考えている」とリューは言う。「持続可能というのは、台湾から派遣される人材に頼り続けることはできないという意味だ」。
インテルとの人材争奪戦
TSMCはアリゾナで人材獲得競争にさらされている。この地域では他の企業も増産を急いでおり、熟練技術者を探しているためだ。アメリカの半導体大手インテルは、この地域で半導体工場を拡張している。
こうした状況を受けて、近隣の大学は電気工学などの分野で指導体制を強化。TSMCも、実習、インターンシップ、研究プロジェクト、キャリアフェアを通じて大学との協力を進めている。
TSMCの主要な人材供給源として存在感を高めているアリゾナ州立大学では、同社が学生の研究プロジェクトに資金を提供。将来の従業員としての能力の見極めや採用活動がしやすくなっている、と同大学工学部の副学部長ザカリー・ホルマンは語った。
(執筆:John Liu記者)
(C)2024 The New York Times
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