ソーシャルメディアマーケティング最前線《中》--「サンダーバードラボ」に見るトリプルメディア戦略の実践例

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ソーシャルメディアマーケティング最前線《中》--「サンダーバードラボ」に見るトリプルメディア戦略の実践例

前回は、ソーシャルメディアの特性に合わせたマーケティングの総論をお伝えしました。

今回は、当社が手掛けた協和発酵キリン「THUNDERBIRDS Lab.」プロジェクトをケーススタディとして、ブランド認知向上にソーシャルメディアを活用する方法についてご紹介します。

協和発酵キリンは、2008年に協和発酵工業とキリンファーマとの合併により誕生した製薬会社です。合併前に比べて、社名や業態に関する認知が低下したことを踏まえ、10年よりブランディング強化を図っています。

11年の施策として重点を置いたのが、「抗体医薬」の認知率向上、「抗体医薬といえば協和発酵キリンだ」という想起率の向上です。
 
 ターゲットは、(1)抗体医薬自体のターゲットと重なり、(2)薬自体にも興味を持ちやすく、(3)抗体医薬という新しい医薬品を受け入れやすいという観点から、40~50歳代の男性に設定しました。

そもそも抗体医薬とは、生体の免疫システムの主役である抗体を主成分とした医薬品で、がんなどの病気に対して効果が期待される最先端医療の1つです。しかし一般にはなじみが薄く、難しいテーマであるため、ターゲットに興味を持ってもらえるような仕掛けづくりが求められました。
 
 また限られた予算の中でリーチの最大化を図るため、ソーシャルメディアを駆使して最大限に情報の拡散を図る必要がありました。

そこで生まれたのが、「THUNDERBIRDS Lab.(サンダーバードラボ)」です。これは「楽しみながら抗体医薬を学ぶ」をコンセプトにした、体験型のウェブコンテンツです。
 
 この施策では、ターゲット世代になじみが深いキャラクター「サンダーバード」を起用したオフィシャルサイトを開設。このオフィシャルサイト(オウンドメディア[自社サイト])を中心に、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディア、各種ウェブサイトへの広告(ペイドメディア)を横断的に活用した「トリプルメディア戦略」を敷き、幅広くリーチを図りました。



■キャンペーンの全体像

各コンタクトポイントの役割を詳しく見ていきましょう。

【オフィシャルサイト:ブランド理解】

オフィシャルサイトは、ターゲットの抗体医薬への理解を深める場として設計しました。
 このサイトでは、まず「サンダーバード」のキャラクターから抗体医薬に関するレッスンがあり、その内容に関する「おさらいテスト」が実施されます。

これに合格すると、「隊員」に認定され、サンダーバードの仲間とともに、さらなるミッションを成し遂げていくというストーリーが設計されています。このようにユーザーの興味を喚起し、抗体医薬を楽しく学べる仕組みを設けました。

また、このサイトには「ソーシャルログイン」と呼ばれる機能を搭載しました。

ソーシャルログインとは、TwitterやFacebookなど既存のソーシャルメディアIDを使ってサイトにログインする機能のことです。ユーザーにとっては、アカウント開設の手間を省くメリットがあります。企業にとっても、簡易なログイン機能によってサイト離脱を最小限にすることができ、ユーザー情報の取得にもつながります。

今回はソーシャルログインすることで、ユーザーが「THUNDEBIRD Lab.」サイトに訪れている友人・知人とテスト結果などを共有できる仕組みを設けました。自身の友人や知人とコンテンツを共有することで、関与度を高める狙いがあります。またコンテンツ内容をFacebookやTwitterでシェアする機能を設け、口コミの最大化も図りました。

しかし、実際の運用面では課題も出てきました。大きな課題になったのが、“ログインページでのサイト離脱率が突出して高い”ことでした。

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