スマホ決済「コイニー」は、どこへ行くのか 母となった佐俣奈緒子社長に直撃

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――とはいえ、日々の仕事に割く時間が減るので、慣れるまでは大変だったのでは。

当初は、仕事のやり方がわからなくなった時期がありました。どこまで自分が口や手を出したらいのか、線引きがわからなくなったり、大きな決断を下すといった自分がやらなければいけないことに対する時間配分にバランスを欠いたり。

普段のオペレーションに関しては、私がいなくても回るようにしてきましたし、マネジャーも育っています。出産によって、自分の仕事の持ち方は変りましたが、出産してもしなくても、事業展開のスピードはあまり変わらなかったかもしれません。もしかしたら、仕事を周りに分散した結果、前より早いかもしれません。

育児が理由でパフォーマンスは落ちない

月に1度開く納会で社員と談笑する佐俣社長

――働くお母さんはよく、職場に「迷惑をかけてすみません」と言ってばかりなのがつらいと言います。

最初はそういう気持ちもありましたが、仕方がないと割り切るようにしています。子どもを持つ社員も多く、今日もお父さん社員が家で働いています。

社員が育児に時間をかけているからといって、それが原因でパフォーマンスが落ちる人はほぼいないと思っています。育児じゃなくても落ちるだろうと。女性が働きやすい環境にするには、女性ばかりみても仕方がない。男性が休みをとりやすく、長時間働かないで済むようにしないと意味がありません。

子どもを持って思ったより大変なのは、よく風邪をひいたりするので“読めない”ことですね。逆に、大変だけどどうにかやっているので、思ったよりやれるなという思いもあります。いずれにせよ、現場に支えられています。

――子育てで心掛けていることについて。

子どもと一緒にいるときは、仕事のことを考えないようにしています。実家でご飯を食べるとき、テレビをつけずに会話をする習慣がありました。今は、食事のときもスマホをなんとなく手にしがちですが、どんどんツールが小さくなって罪悪感が減ってきているような気がします。雑誌のマンガを読みながら子どもと接すると違和感がありますが、スマホでマンガを読みながらだと、それほどでもない、みたいな。

――しかし、起きている間は仕事をしていたいほど仕事好きとは。

もともとベンチャーキャピタル(VC)など金融全般の仕事が好きで、VCでインターンを1年ぐらいしたことがあります。なぜVCが魅力的かというと、世の中に価値がまだ認められていないものを発掘して、自分は黒子として支援するのが格好いいと思っていました。私はインディーズの音楽が好きなのですが、それに近いものを感じるのかもしれません。学生時代に遊びに行ったシリコンバレーでも、会った人たちがみな魅力的で、刺激を受けました。

――東京オリンピックに向けてキャッシュレスの動きは加速しそうですね。

クレジット未加盟の事業者は多くあるので、地方を含めて早いスピードで進めていきます。決済やインターネット広告で日々の業務を簡単にするサービスを提供することで、コイニーのサービスが伸びていることを皆さんが実感できるようにしていきたい。

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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