マクドナルド「AI広告の炎上」が示す嫌悪感の正体 「お~いお茶」や「AQUOS」は許されたのに、なぜ?
同じAIに寄る広告でも、人びとから受け入れられる表現と、批判を受ける表現が生じてしまうのはなぜなのだろうか?
上に挙げた事例も読み解きつつ、その要因を解明してみたい。
なぜマクドナルドの広告は叩かれた?
AIによって生成された広告への批判的な意見として、下記のようなものが挙げられる。
今回のマクドナルドの動画に対する批判は、1と2に関するものが目立つ。1と2は相反するように見えて、表裏一体だ。
実写と比べるとリアリティに欠けるため、人は「不自然」「親しみが湧かない」という感情を抱く。一方で、アニメやマンガとは異なり、実物の人間に近いがゆえに反発を覚えてしまうという側面もある。
なお、「不気味の谷現象」とは、ロボット工学者の森政弘氏が提示した概念だ。
ロボットが人間に近づくほど、人は親しみを覚えるが、人間に近づきすぎると、急速に「不気味」に感じる現象のことを示している。ロボットに限らず、AIが生成した“人物”に対しても同様の現象が起きていると見られる。
実際、批判を受けた米トイザらスの動画も、マクドナルドと同様に1、2の批判を受けている。
一方で、伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」、シャープ「AQUO」、マッチングアプリ「オタ恋」の広告も人物のイメージをAIで生成しているが、激しい批判は受けていない。
たしかに、「お~いお茶」や「AQUOS」の広告は、テレビCMとして放映されるだけあって、普通に見ていても実写と区別できないくらいクオリティが高い。「不気味の谷現象」を超えて、視聴者が違和感を持ちにくくなっていることもあるかもしれない。
「オタ恋」の広告はまったく逆で、一見していかにも不自然な印象を受けるのだが、逆にそれがネタになって人びとに受けたという側面があるだろう。
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