マクドナルド「AI広告の炎上」が示す嫌悪感の正体 「お~いお茶」や「AQUOS」は許されたのに、なぜ?
GoogleのAI「Gemini」のテレビCMでは、五輪選手にファンレターを書こうとしている娘を持つ父親が、Geminiにファンレター執筆の手伝いを頼むという設定になっている。
当然のことながら、「(人の気持ちを伝えるものである)手紙の執筆をAIに頼むのは不適切だ」といった批判が相次いだ。
AIで作られた広告ではないが、米Appleの「iPad Pro」の動画広告「Crush!」では、巨大プレス機が楽器、芸術作品、カメラなどを押しつぶすシーンが大きな批判を浴びている。
「人間的なもの」を否定する表現、「人間性が感じられない」表現が、広告に限らず反発を受けてしまうのは、当然と言えば当然のことである。
AIを活用した広告で人びとから評価されているものは、どこか面白かったり、親しみが持てるものだったりする。
AI活用の際に覚えておきたい「マクナマラの誤謬」
話は変わるが、NHK『映像の世紀 バタフライエフェクト』シリーズで、昨年5月に「ベトナム戦争 マクナマラの誤謬(ごびゅう)」が放映された際に、筆者の知り合いのマーケター数名が、SNSで本番組に共感する投稿を同時に行っていた。
マクナマラは、米国防長官を務めた軍事エリートで、データを駆使してベトナム戦争を戦ったが、敗北してしまった。マクナマラは、データの裏側にあるベトナム人の愛国心や戦意、アメリカ人の反戦感情が見えていなかったのである。
将来的にAIがどの程度まで進化するのかは完全な未知数だ。しかしながら、広告に限らず、人びとの心を動かす表現を生み出すためには、背後にある「人の気持ち」を汲み取る能力が必要となる。このことは、技術の進化にかかわらず、不変の真理であるはずだ。
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