大波乱後の日経平均は9月以降最高値をとれるか 外国人投資家は割安な日本株をスルーできない
もちろん、こうした直近の統計は、目先で大きく落ち込んでいた反動にすぎないと見ることもできる。だが、外国人投資家は意外に単純に評価するため、日本株に先高観が復活する可能性もある。
前回の記事「日本株の『長期上昇インフレ相場』は終わらない」(8月5日配信)では、大波乱の中、「2023年大発会から始まったデフレ脱却相場は、少なくとも2024年と2025年の3年間にわたる上昇相場という私の基本観はまったく変わっていない」とした。しかもそれは2025年までの3年で終わるという意味ではなく、「インフレ相場が始まれば2026年も、場合によっては2027年も続くと考えている」と言明したが、この考えは微動だにしない。
日銀は「連続利上げ」はできない
8月14日に岸田文雄首相が退陣表明をしてから混沌としている自民党総裁選挙は、いよいよ今週から本格化する。早ければ19日にも先頭を切って、20人の支援者を集めたという小林鷹之氏(前経済安全保障担当大臣)の出馬宣言があるようだ。
私は「政府に忖度する植田日銀」は、景気指標を見ながら慎重に利上げをしていくと思っている。アメリカの金融当局が9月以降連続で利下げをするのは確定的ながら、一方の日本は政局とぶつかるこのタイミングで9月の利上げは難しいだろう。実際、16日の時点ではドル円相場も1ドル=147円台に戻っている。
アメリカ(共和党・民主党)や英国(保守党・労働党)など海外の政局と違い、日本の政権交代は、何度か例外はあるが、今回もいわば自民党内部の事象にすぎない。岸田首相はデフレ脱却宣言を出す前に退陣となりそうだが、新政権は初動の段階で、国会解散とともにデフレ脱却宣言を出す可能性もある。誰に決まっても新政権へのご祝儀相場の可能性も出てきた日本株を、外国人投資家はスルーできないと思っている。
もちろん、1990年や1996年など、過去重要な局面で何度か犯して来た政府・日銀の「大失策」が今回起きないとは断言できない。値動きの激しい現在、投資家は常に余裕を持って行動すべきだ。かつ、前向きに。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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