大波乱後の日経平均は9月以降最高値をとれるか 外国人投資家は割安な日本株をスルーできない

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しかし、このときの主体別売買動向を見ると、対内証券売買契約(財務省ベース、外国人)は5219億円の買い越し、東証ベースで見ても4953億円の買い越しとなったように、外国人投資家は先物で1兆2725億円を売り越した反面、現物ではしっかり買っている。また、事業法人も5060億円の買い越しと、2015年12月以来の高水準だった。株価が急落した局面で、多くの企業が自己株買いを実施したとみられる。

結局、「余裕筋に安いところを拾われた」というのが今回の大波乱相場だったことになる。

再び円キャリートレードが活発になる?

冒頭でも記したとおり、しばらく底値固めかと思われた日経平均はV字回復となって、7月11日の史上最高値4万2224円から8月5日の3万1458円までの下げ幅の61.34%を取り戻した。「半値戻しは全値戻し」の格言にあるように、今後の展開には明るさも見えてきた。しかし、このまま上昇し、再び史上最高値をとるのか、波乱があるのか、投資家の悩みは尽きない。

ここで問題になるのが、いわゆる円キャリートレードの存在だ。昨年10月からの日経平均1万円高と、その後の1万円安に大きな役割を果たしたのが、円キャリートレードの積み上がりとその巻き戻しであることは周知の事実になっているが、いまだに悩ましい状態は変わっていない。

8月16日現在、日本の10年債利回り0.87%、アメリカの10年債利回り3.9%、さらに東証プライム市場の平均配当利回りは2.38%だ。これらを考えると、日本株に先高観が見えると再び円キャリートレードが積み上がることになりそうだ。

折しも、8月15日に発表された日本の4~6月期GDP速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比+0.8%、年率換算で+3.1%と、エコノミスト予想の年率+2.3%を大きく上回り2四半期ぶりのプラス成長となった。

名目GDPも前期比+1.8%、年率換算で+7.4%と2四半期ぶりのプラスで、年換算では607兆円と、初めて600兆円に乗せた。また、GDPの半分以上を占める個人消費も実質で前期比+1.0%、名目で+1.5%と5四半期ぶりのプラス。消費に次ぐ民需の柱である設備投資も実質で前期比+0.9%、名目で+1.9%と2四半期ぶりにプラスだった。

さらに7~9月期も、賃上げの広がりや6月に開始された定額減税による効果で消費の拡大が見込まれ、エコノミスト予想ではプラス成長が続くとの見方が多くなっている。

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