中国の女性が結婚写真に世界一こだわる理由 沖縄などで撮影する中国人カップルが急増
ここからは、前出の一連の話がほとんど親の話だということがわかるはずだ。「理想の嫁」に来てもらうには、大きなマンションや高級ブランド車を用意することが必要だと思い、頑張って貯金する。いざ結婚となったら、親としての面子を自分の圏子の中で立てるため、最後のおカネを使い切ってまでも、豪華な写真を撮り、盛大な披露宴にする。
シンプルなカップル写真を飾ったり、普通のホテルで結婚式を挙げたりすると、貧乏くさくて誠意がないと思われ、圏子のコアメンバーから呼ばれなくなるかもしれない。「あの人は息子の結婚式なのに、ちゃんと用意していない。お嫁さんと仲が悪いのかしら」などと言われるのは非常に困る。だから「ダサい」がゴージャスに加工した前撮りを撮らせる。
一方、女性の両親も、「普通のものでごまかすはずはない」と当然期待し、最高(=自分の圏子の中でよくあるものやグレードアップしたもの)を求める。結婚式を新郎側と新婦側で二回に分けて行うケースも珍しくなく、「圏子で面子を立てる」ためは、それこそ盛大さを競うことになる。
また、中国の結婚は、「ご祝儀の返しの場」であることもあり、圏子内の人と同じレベルの前撮りや結婚式をやらないと、ご祝儀で稼ぎたいのだと思われ、これまた面子が立たなくなる。
圏子で地位を高めるため、無理にご祝儀で大枚をはたくケースもあるくらいだ。このように、結婚イベントは親の圏子の争い場になり、主人公のはずである新婚夫婦はまるで「操り人形」のようだ。
「自分らしさ」に目覚めた新世代の女性たち
ここまで「中国の女性は、経済的には一見独立しているが、精神的にはなお男性に『従属』している」ことや、「結婚は親の面子や圏子の争いの場」であることを紹介して来た。
だが、「80後」や「90後」(それぞれ1980年代、1990年代生まれの世代)では、こうした慣習に抵抗し、夫や親から離れ、自分らしい生活を求める女性が増えている。
中国では、毛沢東時代から「女性は天の半分を支えている」とされ、女性も社会に出れば当たり前のように働いてきた。だが、家で祖父母に育てられながら、仕事に疲れた母親を目の当たりにして、自分は「母親のようにはなりたくない」と思う女性が増えている。
もちろん、親の言うとおりに結婚し、他人と同じような結婚イベントをすることも嫌い。好きな人と好きなように前撮りをし、面子や祝儀のためではなく、自分達を祝う結婚式が挙げたいのだ。
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