中国の女性が結婚写真に世界一こだわる理由

沖縄などで撮影する中国人カップルが急増

中国の結婚は、一言でいえば日本と比べものにならないほど「人・モノ・カネ」が動く、面倒なイベントだ。結婚する当事者たちはもちろん、両親、祖父母の「三代」がそれこそ総力を挙げる必要があるからだ。

なんといっても一番大事なのは住宅。中国では男性が結婚のために住宅を用意するのが当たり前である。不動産価格の高騰で当事者の所得との乖離は開く一方だが、一人っ子政策のため、両親と祖父母は全力を挙げ、ほぼ一生かかって貯めた蓄積を捧げ、子どもにマンションを買ってあげている。

しかし、マンションだけで結婚できると思ったら、甘い。もう一つ問われるのが、「完璧な結婚イベント」をこなせる力なのである。

離婚を想定して結婚をする女性たち

中国でいう「結婚イベント」とは、正確に言えば、マンションの購入とその内装工事、さらには自動車の購入は含まない。それら以外の、婚約式、ウェディングドレス、結婚写真(前撮り)、結婚式、ハネムーン等のことである。

では、中国女性が憧れる「結婚イベント」とは、どんなものだろうか。サプライズに溢れたプロポーズ、ティファニーのプリンセスカットの婚約指輪、高級ホテルでの盛大な結婚式、カルティエの「LOVE」結婚指輪、国内外で撮影し、かつ丁寧に編集した「前撮り」、プロに撮ってもらう映画のような結婚式ビデオ、ヨーロッパの新婚旅行、さらには結婚を理由にした高級ブランド品買い・・等々だ。

これらをすべてセットすれば、軽く数百万円はかかる。こうした一般の若者の年収よりもはるかに高い結婚イベントの資金を出すのは、ほとんど夫側の家族だ。こう書くと、一見、中国の女性は拝金主義者で、男性が大変に見えるかもしれない。だが、実際はそうではない。中国人の女性とその家族は、結婚イベントの中で、無意識に自分たちを拝金主義者のように見せ、最終的には物質的な安定を求めている、と考えられる。

ひと昔の日本には女性を、売りどき買いどきがある「クリスマスケーキ」にたとえる時代があったが、中国も同じく女性を25、28、30歳などに分けている。特に30歳を超えると、結婚できなくなる「売れ残り女」(「剰女」)だと呼ばれるようになり、一般的に社会での女性・人間としての価値が下がってしまう。

従って、結婚に関しては本人よりも親のほうが心配し、「節目の年齢で勝負して、なんとか結婚してほしい」、と口うるさくなる。

また、離婚率が高い中国では、「バツイチ」の男は経験を積んだと思われ再婚しやすい。逆に「バツイチ」の女は他の男の付属品だったと思われ、結婚相手に選ばれにくくなる。残念ながら、「円満な婚姻関係こそ、女性としての成功」という意識はいまだに強い。

それゆえ、妻の両親は、自分の娘を大事にしている証拠として、夫の家族に、新婚夫婦の共同名義の不動産、新車を買わせ、盛大な結婚式をしてもらう。

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