当たり前のことではあるが、自民党は保守政党であるために、同じ保守政党である共和党の方がやりやすい。逆にジェンダーやマイノリティの問題など、リベラルな問題には弱いので、アメリカの民主党を苦手とするのは致し方ないところがある。それを考えても、2009年から20 12年にかけての(日本の)民主党政権が短命に終わったことは惜しまれる。特に、沖縄基地問題をこじらせてしまった鳩山由紀夫首相は罪が重いといえる。
不思議な「政治基盤の弱いリーダー」の組み合わせ
過去をさかのぼれば、1970年代後半の日米関係に「大平正芳とジミー・カーター」という成功例もあった。大平氏は敬虔なクリスチャンであり、カーター氏もまた信仰心の厚い南部人であった。二人の間には深い交流があったと伝えられている。
「岸田文雄とジョー・バイデン」は同じく宏池会とアメリカの民主党の組み合わせとなるが、あいにく「どちらも政治的基盤の弱いリーダー」であった。そしてカーター氏は「1期のみの大統領」で終わり、大平氏は選挙期間中に病いに倒れたのであった。
そして今般、バイデン氏は高齢を懸念されて再選出馬を断念し、岸田氏も自民党総裁としての再選を求めない決断を下した。やはりこの二人、不思議と重なるのである。
最初から息が合っていたわけではない。岸田内閣が発足したのは2021年10月のこと。首相になってすぐに、岸田氏は訪米を希望した。とにかくアメリカ大統領に会って、日米関係を確実なものにしておきたい。それ自体は自然な発想といえるが、ホワイトハウスはなかなか時間をくれなかった。岸田訪米は「おあずけ」を食らってしまったのだ。
今から思えば、アメリカ側は「また日本の悪い癖が始まった」と考えたのであろう。バイデン大統領が就任したのは2021年1月20日のこと。その時点の日本首相は菅義偉氏であった。4月には菅首相が訪米して日米首脳会談を行うが、このときの日米共同宣言は52年ぶりに「台湾海峡の平和と安定性」を書き込むという画期的なものであった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら