この会見で岸田首相は「昨日モンゴルの首相との電話会談を行ったことで、この夏の外交日程に一区切りを付けることができた」としたうえで「お盆が明ければ秋の総裁選への動きが本格的になる。(その際は)新生自民党を国民の前に示すことが必要で、透明で開かれた選挙、何よりも自由闊達(かったつ)な論戦が重要」と指摘し「自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ」と決断の理由を語った。さらに「総裁選を通じて選ばれた新たなリーダーを一兵卒として支える」とも付け加えた。
岸田政権に対しては、昨年末以降、自民の派閥裏金事件をめぐる対応などに世論の批判が高まり、内閣支持率は低迷状態が続いてきた。そうした中、衆院議員の任期満了が来年10月に迫る一方、来夏には参院選が実施されるため、自民党内からは裏金事件での首相の引責を求める声が噴出、岸田首相の総裁選への対応が注目されていた。
今回の岸田首相の決断について、自民党内からは「退陣は当然」「出ても勝ち目がないと思ったからだ」などと厳しい声もあるが、党幹部の間では「まさかこの段階で退陣表明するとは予想もしなかった」との声が多く、最高幹部の1人は「今退陣表明すれば総裁選も混乱するので必死で慰留したが、聞き入れてくれなかった」と肩を落とした。
「数日前に退陣決断に傾いた」と最側近
ただ、最側近の1人は「(岸田首相から)今日(14日)しかないとの連絡があった」と明かした上で「前は強気だったが、数日前に相談した時、妙に冷静になっていたので、半分以上辞めるほうに傾いたと思っていた」と岸田首相が考え抜いた結果であると強調した。
これにより、総裁選は「出馬を目指してきた人物が我も我もと手を挙げて、大乱戦になる」(自民長老)のは確実で、とりわけ茂木、石破、高市、河野の4氏は「出ない選択肢はない」(同)ことになる。ただ、「いずれも新鮮味に欠けるきらいがある」ため、新生自民のシンボルともなり得る小泉、小林両氏を担ぐ動きも加速しそうだ。
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