韓国「40代独身女性の共同生活」に支持集まる理由 韓国の非婚化が問う「社会制度の家族問題」
とはいえ、2人は互いに補い合う関係を見いだした。元ファッション雑誌編集者のファンは料理好きで、元コピーライターのキムは皿洗いが好きだった。2人とも本を書き、猫を2匹ずつ飼っていた。
また、おしゃべりが大好きで、その才能をポッドキャストにうまく生かした。ポッドキャストでは、本や映画から中年期の不安を克服して健康を維持する方法まで、いろいろなことについて話し合っている。2人は現在、ともに作家兼ポッドキャスターとして生計を立てている。
「一番の教訓は、結婚していない40代女性であっても大丈夫だということ。それは失敗の人生ではない」とキムは話す。
共同生活者たちが直面する「疎外」
ソウル在住のビジュアルアーティストで44歳のクク・ドンワンは、彼女たちのポッドキャストを楽しんでいる理由について、「世の中にはコンテンツが山ほどあるが、中年女性が自分たちの人生について、似たような境遇にある女性たちが共感できるような形で語っているものはあまりない」と語った。
37歳のチェ・ユミは、マスメディアでは既婚者が過剰に登場するのに対し、婚姻とは別の選択肢を選ぶ人たちは疎外されていると話した。
「彼女たちのポッドキャストの驚くべき成功は、血縁、あるいは婚姻関係にない世帯を尊重する基盤を求めるニーズがとても強いことを示しています」
2022年に韓国の国家人権委員会は、同性を含む非婚のカップルに、医療判断に関する代理権をはじめ、婚姻に伴う税制面やその他の優遇措置、さらには法的保護のほとんどを与えるべく、シビル・ユニオン(結婚に似たパートナーシップ)の合法化を勧告した。
昨年の政府調査では国民の大多数が、シビル・ユニオンを導入して非婚カップルを国として支援すれば、出生率の低下を反転させる助けになると考えていることがわかった。