東京都競馬、ハイテク化でじわり復活 客離れによる25年の苦境から脱せるか
しかしその後は長期の苦境に陥る。1992年以降は馬券の売上高、入場者数ともに右肩下がりに。ナイター競馬のブームが去り、レジャーが多様化したことも背景にある。
同社の稼ぎ頭は競馬に代わって、勝島・平和島地区での倉庫賃貸事業(1984年参入)に移り、ここ数年間は、営業利益の6~7割以上を倉庫が生み出していた。
「もはや、競馬ばかりにカネをかけられない」。2013年2月に東京都競馬が発表した中期経営計画では、大井競馬場の耐震対策のリニューアル工事が盛り込まれたものの、新たな倉庫の取得、子会社が運営する遊園地「東京サマーランド」の改装、新規事業の育成など、“脱・競馬依存”が打ち出された。
復活のきっかけはネット
ところが、静かに変化の兆しが表れた。実際にレースを開催する大井競馬場(本場)への入場者数は今に至るまで減少を続けているものの(2014年度は約61万人)、東日本大震災でギャンブルの自粛ムードが広がった2011年を境に、大井競馬場での馬券の売上高は1000億円弱で下げ止まり、少しずつではあるが増加に転じたのだ。
入場者数が減っているのに、売上高がじわじわと増えている理由は何か。アベノミクス以降の景気回復ムードも背景にあるようだが、東京都競馬は「インターネットによる在宅投票が浸透しつつある」と分析する。
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