ソニーが携帯電話子会社ソニー・エリクソンを完全子会社化、スマホ市場で挽回できるか
ソニーは27日、スウェーデンの通信機器大手エリクソンと折半出資する携帯電話子会社ソニー・エリクソン(ソニエリ)を完全子会社化すると発表した。来年1月をメドに、エリクソンが保有する株50%を10億5000万ユーロ(約1110億円)で取得する。
27日に英ロンドンで会見したハワード・ストリンガー会長は「スマートフォン、タブレット、ノートPC、テレビをシームレスにつなぐ4スクリーン戦略を進める」と目的を語った。ソニーは音楽や映画などの配信サービス事業を強化中で、米アップルや韓国サムスン電子との差別化戦略に掲げている。だが、その要となるスマホがソニエリ傘下だったため、完全子会社は課題とされていた。
結局、完全子会社化には10年を要した。ソニーが赤字の携帯電話事業を切り離したのが01年。「Walkman Phone」やデジタルカメラ機能を訴求したCyber-shotケータイなどでライセンス供与し、ヒットに結びつけた。だがその後は激しい価格競争に巻き込まれ、業績低迷が続いていた。
さらにスマートフォンの登場で潮目が変わった。07年にはスマートフォン「エクスペリア」を発売したが、アップルの背中は遠い。構造改革で人員リストラを行い、携帯電話事業を大幅に絞り込む一方で、高単価なスマートフォン戦略へシフト。ソニーからも相当数の開発人員を送り込み、「スマートフォン専業会社」への脱却を進めている最中だった。
エリクソンが得意な欧州と、ソニーファンの多い日本ではエクスペリアシリーズは人気を集めたが、北米市場ではほとんど存在感がない。今後はソニーブランドを世界中に広めるべく、新たな商品開発が急がれる。