ファナックと神戸製鋼を分析する 中国経済の減速で、日本企業はどうなるか

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ちなみに、ファナックは、キーエンスに次いで全国で2番目に給料の高い会社と言われています。これだけ利益率が高いわけですから、当然のことながら、給料もたくさん支払われるのです。もちろん、給料トップと言われるキーエンスも50%を超える非常に高い営業利益率を維持しています。

これほどの利益を出していれば、安全性など見る必要もないほどすばらしいと想像できますが、貸借対照表(同4~5ページ参照)にも目を通してみましょう。

中長期的な安全性を示す自己資本比率は、88.1%。こちらも驚くべき数字です。負債の部を見ても、有利子負債どころか、負債自体がほとんどありません。

現預金も、潤沢すぎるほど持っています。資産の部にある「現金及び預金」は7741億円。「有価証券」は1300億円。つまり、手元資金は合計で約9000億円あるということです。

手元流動性(現預金やすぐに現金化できる資産÷月商)を計算しますと、13.7カ月分となります。一般的に、大企業ですと1カ月分あれば、通常のオペレーションを行っていくうえでは問題ないとされていますから、ファナックの場合は、非常に高い財務余力があることが分かりますね。

そのため、外国人投資家などからは、「もっと資産を有効に使って、さらに利益を出すべきだ」との声が上がっています。確かに、これだけ自己資本比率が高く、またここで説明したような手元流動性を持っていれば、ROE(自己資本利益率)の水準を保つのは大変でしょう。

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