4年で半減の大苦境「ホンダ」中国事業の行き先 BEV新ブランド投入で立て直しは図れるか?

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しかし、e:Nシリーズの販売台数は、2024年1~6月で8000台弱となり、ホンダの中国販売に占める割合は2%にとどまる。価格競争力が弱く、SDV(ソフト定義クルマ)化を含む走行性能や乗車体験でも、テスラや中国勢に太刀打ちできないことが、ホンダの電動車の課題だ。

ホンダは、こうした課題を意識し、エンジン車の生産能力を減らす一方、1700人規模の希望退職者の募集を実施して、コスト削減を図っている。

東風汽車と共同開発したBEV、霊悉(リンシー)のプロトタイプモデル(筆者撮影)
東風汽車と共同開発したBEV、霊悉(リンシー)のプロトタイプモデル(筆者撮影)

また、パートナーの東風汽車の協力を受け、現地採用のエンジニアによるBEV新ブランド「霊悉(リンシー)」を立ち上げ、「e:NS1」などの電動車をヨーロッパへ輸出する取り組みを始めた。

2025年に投入するBEVの新ブランド「烨(イエ)シリーズ」には、ファーウェイの車載ディスプレーや科大訊飛(iFLYTEK)の音声認識技術を採用する予定だ。

いまホンダに「足りないもの」は何か?

こうした生産能力の適正化、固定費の削減、新型BEVモデルの投入を通じて、ホンダは厳しい中国事業を打開しようとしている。

マルチパスウェイ戦略をとるトヨタに対し、急進的な電動化計画を推進するホンダは、機能・乗車体験・コスパを含むBEVの競争力を構築し、ホンダにしか作れないBEVブランドの価値を構築する必要がある。

車種を増やすだけでなく、車両の設計・生産・販売からアフターサービスまでの大転換を含む、電動化戦略の方向性の見極めが求められるだろう。

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今後ホンダは、日産と共同でSDV技術の開発に取り組み、BEVで巻き返しを図る一方、中国事業の基盤となるエンジン車の販売減を食い止め、既存のエンジン車のファンをキープすることに注力ことも必須だ。

中国新車市場でPHEVの好調やBEV減速の気配が漂う中、ホンダの中国事業の立て直しの行方はますます注目される。

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湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、中央大学兼任教員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、中国自動車業界のネットワークを活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。大学で日中産業経済の講義も行う。『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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