マクドナルドとKFC、中国で続く苦戦 「食の安全」で支払う重い"代償"
CMRの調査データでは、マクドナルドとKFCへの中国国民の信頼感や期待感がピークをつけたのは2010年で、食の安全懸念が初めて生じた12年以降は下がっている。
ユーロモニターのデータも同じような傾向を示す。中国のファストフードチェーン市場に占めるヤム・ブランズのシェアは10年に40%近くあったが、昨年は30%程度まで低下。マクドナルドはシェアを維持しているものの、中国勢との競争は激しくなった。
両社はいずれも昨年の問題以降、中国の市場環境が厳しくなったことは認めている。7月にはヤム・ブランズ幹部が、中国における売上高について景気減速や競争激化を理由に、回復には想定よりも長期間を要すると語った。
中国の消費者向けに調理場を公開
マクドナルドとヤム・ブランズはファストフードの中でより成長スピードが速いピザや、開発が急ピッチで進む中小都市の顧客層に目を向けるなど、販売テコ入れにも取り組んでいる。またヤム・ブランズは今年、プレミアムコーヒー事業を拡大し、高級イタリアレストラン「アットプリモ」を上海に立ち上げた。
食の安全面では、KFCは中国の消費者向けに1000カ所以上の調理場を公開し、マクドナルドは仕入れ元業者のリストをインターネットに掲載している。
それでもすべての人が納得したわけではない。
上海のある企業役員の男性はかつて、近くのマクドナルドに子供たちを毎週のように連れて行ったが、食の安全問題が出てきた数年前から足を向けなくなった。
この男性は「食の安全は以前よりはるかに重大な問題なので、われわれが口にするものにはずっと大きな注意を払っている」と話した。
(Adam Jourdan記者)
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