マクドナルドとKFC、中国で続く苦戦 「食の安全」で支払う重い"代償"
[上海 6日 ロイター] - 米ファストフードチェーン大手のマクドナルド<MCD.N>と、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)を傘下に持つヤム・ブランズ<YUM.N>がともに中国で客足の回復に苦戦を強いられている。
昨年、マクドナルドとKFCに製品を納入している業者が賞味期限切れの肉を使用していた疑いがあるとされ、当局が調査に乗り出したことがきっかけだ。
中国での成長戦略が困難に
マクドナルドとヤム・ブランズは、世界的な販売減を補う切り札として中国での成長を取り戻すことを掲げる。しかしブランド力低下や地元勢との競争激化という逆風にさらされていることに食の安全への懸念が加わり、こうした戦略は実現が一段と難しくなっている。
ヤム・ブランズにとって中国は最大の市場であり、マクドナルドが中国に展開する店舗数は世界第3位だ。いずれも過去10年にわたって着実に伸ばしてきた売上高は、昨年の問題で深刻な打撃を受けた。
中国で両社に対する食の安全懸念が浮上したのは昨年が2回目。アナリストは、この問題が「とどめ」となって多くのファミリー層が両社の店舗に行かなくなったとみている。
中国の経済成長率自体の下振れが常態化し、コンサルティング会社ユーロモニターによるとファストフード市場の伸び率も2019年までにそれまでの10年間の3分の1弱にすぎない4%程度まで鈍化する見通し。こうした中では、常連客を失う痛手はとりわけ大きい。
チャイナ・マーケット・リサーチ(CMR)のベン・キャベンダー社長は「離れてしまった客はファミリー層と子供で、彼らは戻ってきていない」と指摘。独身の専門職従事者はファミリー層よりも急速なペースでマクドナルドやKFCに帰ってきたとはいえ、こうした客では食の安全問題が浮上する前の売上高伸び率を取り戻すには力不足だとの見方を示した。