映画『もう頬づえはつかない』の冒頭で、木造アパートの中から、気だるそうに窓の外を見つめる桃井かおりが実に1979年的ならば、どんな役を与えられても、遠心力に頼らず、自分のほうにググッと引き寄せ、すべてを割り切り、悟り切った表情で役を演じる、いや「役を演じる」すら超えて、自らの中に「役を飲み込む」河合優実は、この上なく2024年的だと思う。
「かぞかぞ」を自信をもっておすすめできる理由
「かぞかぞ」を自信持っておすすめすることができるのは、昨年、BS時代に「かぞかぞ」を完走したからだ。そんな立場から、ネタバレにならない範囲で、それでも期待を煽るために1つだけ明かすと、全10話のうち、第8話のエンディングがとりわけ素晴らしかった。
「かぞかぞ」は、少々癖のあるドラマだ。なので、河合優実の異物感・疲労感、さらには、独特な味付けの脚本と演出に、身体を慣れさせながら、何とか第8話のエンディングにまでたどり着いていただきたいと、老婆心なから思う。そのときには、もう七実、いや河合優実のとりこになっていることだろう。
パリ五輪の関係で中断していた「かぞかぞ」の再放送が、今夜から復活する。個人的にはパリ五輪中継をほとんど見ていなかったので、七実(とマルチ)とまた会えるのを喜ばしく思っている。
時はお盆を超えて、7月の激烈な猛暑で積み重なった疲労感が、じわじわと身体に響いてくる残暑の季節へと移っていく。それはつまり、河合優実の季節だ。
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