余談ながら、そんな河合優実とコンビを組む、通称「マルチ」役の福地桃子が出色。七実とマルチのやり取りは、何時間でも見ていられる自信がある。
褒め言葉としての「何を演じても河合優実になる」
さて、これまでこの連載では、森七菜、安藤サクラ、川栄李奈、戸田恵梨香など、その時期その時期の旬の女優(最近風当たりの強い言葉だが、あえて使う)を取り上げて、その魅力を分析してきたが、彼女たちと河合優実には、根本的な違いがある。それは「遠心力」と「求心力」の差異だ。
令和における優秀な女優は、一般的に実に器用である。演技力に加えて、覚悟や度胸もあり、千変万化の七変化、どんな役に対しても、驚くほど器用にこなしていく。
ただ河合優実は、「どんな役でも器用にこなす」ではなく、「どんな役でも自分のほうにググッと引き寄せる」感じがするのだ。
つまり「何を演じても河合優実になる」――というと、少しばかり批判めいた言いっぷりに聞こえるかもしれないが、まったく逆で、「久々に出てきたよ、怒涛の存在感が」という、極上の褒め言葉を埋め込んでいる。
このクラスタに加わるのは、最近でいえば、河合優実以外では、門脇麦ぐらいではないだろうか。
このクラスタの特性を、もう少し具体的にいえば、食品や飲料のCMにキャピキャピッと出てきて、CMのラストカットで「♪キャンペーン実施中!」と叫ぶことが、ぜんぜん似合わなさそうということ。無論、こちらも極上の褒め言葉のつもり。
だから7月26日、NHK朝ドラの直後に放送される『あさイチ』に河合優実が出てきたときは、勝手にドキドキした。
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