さらには、こちらも6月公開のアニメ映画『ルックバック』で、主人公・藤野の声を担当、その少し前、3月公開の映画『四月になれば彼女は』では、全編にわたって躍動する森七菜に割り込むように、一瞬だけ出演するシーンでの存在感に目を見張ったものだ。
そんな「河合優実ブーム」の決定打になるのは、第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞した、9月6日公開の主演映画『ナミビアの砂漠』だろう。
こちら、私は未見なのだが、公式サイトのトップページにどーんとアップになっているうつろな目に鼻ピアス付きの強烈な表情(必見)からして、高確率での成功を確信しているところである。
「かぞかぞ」が河合優実の原石っぷりを感じさせる
そんな2024年の「河合優実ブーム」以前、昨年段階での原石っぷりを感じさせるのが、現在再放送中の「かぞかぞ」である。
父親が突然亡くなり、母親は突然、車いすユーザーの障害者となり、さらに弟はダウン症(実際にダウン症のある俳優・吉田葵の演技が素晴らしい)という、いよいよ切迫した状況の家族に囲まれながらも、明るく、かつ、どこか天然に生きていく主人公・七実が、河合優実に与えられた役どころ。
そりゃあ純子も杏もよかった。『ナミビアの砂漠』の主人公もたぶん素晴らしいはずだ。しかし私にとっては今のところ、ここでの七実が、河合優実にとってのいちばんの当たり役だ。
「1986年の不良少女」や「薬物依存症」ではなく、関西にある学校のクラスに、1人くらいは必ずいそうな女子が七実である。しかし河合優実は、そんな役どころの本質をグイッとつかみ取り、自分=河合優実自身にググッと引き寄せている。
だから、関西出身者である私が抱く感想は、「あぁ、こういう女の子おりそうやわぁ――でも、これは河合優実にしか演じられへんわ」というアンビバレントなものとなる。同様の感想を抱く関西人は多いのではないか(なお東京出身にもかかわらず、河合の関西弁は異常に上手い。朝ドラ『おちょやん』における、同じく東京出身の杉咲花レベル)。
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