JAL出身社長解任劇から1年、「空港施設」の現在地 初のプロパー出身社長が就任2年目で語った
国交省OBによる人事介入問題や大株主である日本航空(JAL)出身の社長を解任したことで1年前に注目を浴びた「空港施設」。混乱の中、プロパー出身者として初の社長になったのが田村滋朗氏だ。就任2年目に入った田村社長にガバナンス改革の進捗状況などを聞いた(インタビューは文末)。
空港施設は羽田空港周辺で空港関連施設やオフィスビルの賃貸、冷暖房の供給などを行っている。東証プライム市場に上場、時価総額が約300億円(8月9日時点)の企業だ。一連の問題の余波は続き、今年6月の定時株主総会を前に、アクティビスト(物言う株主)から株主提案を受けた。
提案を出したのは香港の投資会社リム・アドバイザーズ。JALとANAホールディングスからの「天下り」を役員として受け入れることを禁止する、などの内容だった。空港施設の副社長はJAL出身とANA出身の2人だ。
今年の株主総会は無風で終わった。リムが出した6つの提案の賛成率は2〜12%にとどまり、すべて否決された。JAL、ANA、日本政策投資銀行の大株主3社は、株主提案に反対することが確実だった。計19%超を保有する個人株主も、JALとANAからの天下り役員体制を支持した格好だ。
上場企業にふさわしい取締役指名か
重要なのは、空港施設のガバナンス改革がこの1年間でどれほど進んだのかだ。昨年12月に役員の指名方針を改訂し、「出身母体の存在や権限を示唆して不当な圧力や不適切な要求を行うこと、およびその働きかけに応じること」を禁止事項に定めるなど、一定の取り組みは行っている。
だが、国交省OB人事介入問題を受けて設置された独立検証委員会で委員長を務めた八田進二氏(青山学院大学名誉教授)は、「空港施設のここ1年間のガバナンス改革をどう評価するか」という東洋経済の質問に対し、このように答えた。
「上場企業にふさわしい正当な取締役指名がなされてきたようには見えない。従来どおり、利益相反が疑われる主要株主(JALとANA)に役員ポストを用意している」
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