是枝監督「長編デビュー作」に残る"輪島の風景" 能登半島地震の復興を願い、リバイバル上映

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――中堀さんといえば、『帝都物語』をはじめとする実相寺昭雄監督の映画の撮影を数多く手掛けてきたベテランですが、中堀さんに撮影を頼もうとした理由とは?

合津:やはりこちら側が新人なので、実質的に動いてくださる方はプロ中のプロにお願いしなければ成立しないと思ったからです。現場ではある意味、キャメラマンがリーダーですから、中堀さんにお願いしたというわけです。

この映画は輪島の方がいなければ完成しなかったですし、こういうプロ中のプロの方のサポートがなかったら完成しなかった。だから今回、こういう形で『幻の光』を上映するというのも、輪島の皆さんに恩返しと、新人を支えてくれたスタッフの面々に感謝したいという思いもありました。

当初は尼崎で撮影を考えていた

――前半はどちらで撮影したんですか?

合津:いちおう(原作の舞台である)尼崎にロケハンに行ったんですけど、その時は高速ができていて。宮本輝さんが描いた情景とまったく違っていたんで、中堀さんのアドバイスもあって(東京の)三河島で撮影しようということに。

中堀:自分は日暮里で生まれたんですが、三河島とかには、尼崎と同じような感じに見える場所があるんですよ。撮影はちょうど(1995年の)阪神・淡路大震災のころでしたね。

合津:クランクインが1月末予定で、1月17日が阪神・淡路大震災ですから。もしロケ地を尼崎にしていたら、映画は完成していなかったかもしれません。

――1995年の阪神・淡路大震災の年に撮影された映画が、能登支援のためにおよそ30年ぶりに上映されるというのも不思議なめぐり合わせですね。

合津:宮本さんの伊丹のおうちも阪神・淡路大震災で半壊していますから。

中堀:宮本さんはエキストラ出演もされています。その時に「なんかいい映画になるんじゃないか、という漠然とした予感がありました」とおっしゃってくださっていましたね。

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