ダイヤ通りは6割、ドイツ鉄道「遅延」の深刻事情 「時間に正確」は印象だけ?ラテン系諸国は改善

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イタリアの鉄道は、「珍しくきちんと到着したと思ったら前日の列車だった」という笑い話まであるほど遅延ばかりという印象だが、とくに高速列車を含む長距離列車に関しては著しく改善され、2022年の定時運行率は78%、2023年上期には80.2%に達したことがイタリア鉄道FSから発表された。

Trenitalia ETR500
常に遅れる印象のイタリアだが近年は定時運行率が改善した(撮影:橋爪智之)

10分以内の遅延は定時運行に含むという少々緩い基準となってはいるが、頻繁に利用する筆者の感覚では、少なくともここ数年に利用した際、5分以上遅れた経験はあまりない。ダイヤに余裕を持たせているのか、途中で10分以上あった遅れが、終点にはほぼ定刻で到着したこともあったし、定刻より5分以上早着したことも1度や2度ではなかった。

スイス鉄道も、「近年のイタリアの定時性は目覚ましく改善している」と、過去には遅延を理由に直通運転を取り消したこともある国を称賛している。イタリアは過去数年で、鉄道インフラの近代化と線路容量拡大に数十億ユーロ規模の投資を行っており、それが数字となって表れた格好だ。

老朽化と地理的要因が生む遅れ

ドイツ鉄道の遅延については、既に何年も前から問題となっており、利用者が苦情の声を上げ、専門家もその問題について指摘している。

ドイツ鉄道は、2021年に75.2%の定時運行率を達成したが、2022年には約10ポイントも数値を落としている。2023年は過去と同様、70%以上の定時運行率を目標として掲げていたが、10月までの10カ月間で66%と、目標に達することはできなかった。

ドイツ鉄道 遅れ表示 ミュンヘン行きICE
20分以上遅延のミュンヘン行き。次の列車も遅延の表示(撮影:橋爪智之)

その理由はさまざまだ。まず一つの大きな問題として、インフラの老朽化が挙げられる。

ドイツの鉄道は1835年の開通で190年近い歴史を誇り、総延長3万3000kmにも達する巨大な鉄道インフラとなっているが、橋や高架橋といった構造物そのものの老朽化はもちろんのこと、現在の高頻度な列車運行を行うには、線路配置や駅構内の構造などインフラシステムそのものが古すぎ、抜本的な改修が必要不可欠となっている。

しかし、3万3000kmもの路線網すべてをすぐに改善することは難しく、また不具合による補修工事なども重なって、思うような改善ができていない。

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